利用報告書

リビングラジカル重合により調製したトレハロース高分子の構造解析
辻 爽太郎
富山高等専門学校 物質化学工学科

題番号 :S-16-NM-0107
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :リビングラジカル重合により調製したトレハロース高分子の構造解析
Program Title (English) :Structural analysis of trehalose glycopolymer
利用者名(日本語) :辻 爽太郎
Username (English) :Tomohiro Fukuda
所属名(日本語) :富山高等専門学校 物質化学工学科
Affiliation (English) :Department of Applied Chemistry and Chemical Engineering,
National Institute of Technology, Toyama College

1.概要(Summary)
トレハロースはグルコース2分子がα,α-1,1結合した2糖であり、特異な水和構造を持つことから、生体分子変性抑制機能を有する。これを導入したトレハロース高分子はさらに高い熱および凍結変性抑制を示すことが知られている。しかし、トレハロースの高分子化がどのように変性防止を高めているかについて、詳細は解明されていない。本研究では、種々の導入率を有するトレハロース導入糖鎖高分子をリビングラジカル重合により調製し、この糖鎖高分子の構造解析を行った。今後はこの高分子の変性抑制機能の評価、DSCやTGAによる熱挙動特性やIR、ラマン等の分光学的手法による分子運動特性を評価することにより、糖鎖高分子の構造と変性抑制機能の相関について検討していく予定である。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
 SEC-MALS (DMF系)
 GPC(DMF系)
【実験方法】
種々のトレハロース導入率を有するトレハロース高分子を合成した(Fig.1)。続いてSEC-MALS (DMF系)およびメタクリル酸メチルスタンダードGPCを測定することによって合成した高分子の分子量および分子量分布を測定した。その結果を1HNMRのピーク比から算出した分子量と比較を行い、トレハロース高分子の構造を評価した。

Figure1. Synthesis of the trehalose glycopolymer
3.結果と考察 (Results and Discussion)
トレハロースポリマーのトレハロース含有率、分子量および分散度について示す(Table1)。Table1より1:9、3:7のトレハロース高分子ではNMR、GPC、MALSによって得られた結果に差が見られず、理論分子量と比較しても目標付近の値が得られていることが分かった。5:5のポリマーについてはNMR、GPC、MALSによって得られた結果に差があり、理論分子量とも離れた値になる結果となった。しかし、トレハロース含有率の異なる高分子が得られたため今後はこれらの高分子を用いて変性抑制機能の評価、および分子運動特性を評価し今回得られた構造に関する情報との相関を検討していく予定である。

Table1.Characterization of trehalose glycopolymer

4.その他・特記事項(Others)
本研究を行うにあたり、実験操作や実験装置の操作などの指導をいただいた吉川千晶先生に深く感謝いたします。また、装置の操作についてはプラットフォームスタッフにもお世話になりました。感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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