利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1071
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :レーザー応答性薬物ナノキャリアを用いた新規ドラッグデリバリーシステムの開発
Program Title (English) :Development of novel drug delivery by using lase-responsive drug nanocarrier
利用者名(日本語) :田上辰秋
Username (English) :Tatsuaki Tagami
所属名(日本語) :名古屋市立大学 大学院薬学研究科 薬物送達学分野
Affiliation (English) :Nagoya City University, Graduated School of Pharmaceutica Sciences.
1.概要(Summary )
ウコンの抽出成分であるクルクミンは、多くの薬理効果(抗酸化作用、抗がん作用、抗炎症作用など)を持つことが報告されており、医薬品への応用が期待されている。クルクミンをナノサイズに微細化する技術の開発1)、ナノサイズのキャリア(リポソーム、ミセルなど)に含有させることにより、クルクミンをより目的組織・細胞に到達させる工夫がこれまでに行われてきた。
本研究では、ドラッグキャリアの中でも、特に鉄ナノ粒子に着目した。鉄ナノ粒子は、医療機器であるMRIを用いた画像診断、磁場を用いた温熱療法などの応用が期待されている。そこで、今回は、鉄ナノ粒子に治療分子であるクルクミンを結合させることにより、①クルクミンがもつ抗がん効果と、②温熱によるがんの殺細胞効果の2つの効果を併せもつ、新規クルクミン結合鉄ナノ粒子の調製を行った。
2.実験(Experimental)
ピコ秒レーザー(Spectra-Physics, Quantonix社製 Millennia-Tsunami, TITAN-TOPAS)を使用した。調製したクルクミン結合鉄ナノ粒子溶液にレーザーを照射し、サーモグラフィーを用いて、温度変化をモニターした。
3.結果と考察(Results and Discussion)
クルクミン結合鉄ナノ粒子にレーザーを照射することにより、短時間で顕著な温度上昇が確認された。同様の温度上昇の現象は、当研究室が保有する近赤外線の半導体レーザーにおいても確認された。このことより、今回調製したクルクミン結合鉄ナノ粒子は温熱療法に応用できることが期待できた。
今後は、がん細胞株を用いた細胞実験を行い、レーザー照射による殺細胞効果について引き続き検討を行っていく予定である。
4.その他・特記事項(Others)
【参考文献】
1) Tagami, T., Imao, Y., Ito, S., Nakada, A., Ozeki, T., 2014. Simple and effective preparation of nano-pulverized curcumin by femtosecond laser ablation and the cytotoxic effect on C6 rat glioma cells in vitro. Int J Pharm 468, 91-96.
2) Sun, M., Su, X., Ding, B., He, X., Liu, A., Yu, A., Lou, H., Zhai, G., 2012. Advances in nanotechnology-based delivery systems for curcumin. Nanomedicine 7, 1085-1100.
【謝辞】
本共同研究を行うにあたり、ピコ秒レーザー(Spectra – Physics, Quantonix社製 Millennia – Tsunami, TITAN – TOPAS)の操作説明につきまして多大な御協力を頂いた、分子科学研究所機器センターの上田正様に深く感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
特になし
6.関連特許(Patent)
特になし







