利用報告書
課題番号 :S-19-MS-1075
利用形態 :施設利用(ナノテクプラットフォーム)
利用課題名(日本語) :一酸化窒素を選択的に捕捉するコバルト(III)錯体の反応挙動
Program Title (English) :Reaction Behavior of Co(III) Complexes with Selective Binding Ability for NO
利用者名(日本語) :増田 秀樹1), 山口 瑛名2), 余村 駿介2), 服部 優里2)
Username (English) :H. Masuda,1) E. Yamaguchi,2) S. Yomura2), Y. Hattori2)
所属名(日本語) :1) 名古屋工業大学ナノ材料・機能分子創製研究所, 2) 名古屋工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Nagoya Institute of Technology, 2) Nagoya Institute of Technology
1.概要(Summary )
一酸化窒素(NO)は、生体内において血管拡張作用や免疫作用等に関わる重要な生理作用を持つ小分子である。そのため、生体内でのNOの濃度を知る事は重要視されており、精密な測定法の開発が進められている。今回、五配位構造でありNOを一分子のみ選択的に捕捉できるCo錯体の合成を行った。そしてNOと反応させたところ、分光化学的にNOの配位が確認された。この時にできたCo-NO錯体の電子状態および反応性を解明するために、その電子スピン共鳴測定を行った。
2.実験(Experimental)
合成したCo錯体の結晶構造が得られており、その酸化数はCo(III)であると考えられた。しかし、NOが配位することで、NOが有する不対電子が錯体全体に非局在化するため、NOが配位した錯体の電子状態を明らかにする必要がある。そのため、この錯体のESR測定を行った。使用したESR測定はBruker/EMX E500で、4Kから50 Kまで測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Co錯体の構造を右図に示す。実験項で記したように、この錯体の結晶構造は得られており、コバルトの酸化数は3価である。コバルト3価はd6であり、偶数個の電子を有するためESRスペクトルはsilentであった。そこで、NOと反応させESR測定を行ったところ、コバルト上に不対電子が存在するようなスペクトルが得られた。また、温度を変化させることによりスペクトルが変化し、スピンクロスオーバー挙動が見られることが分かった。これは、NOが持つ不対電子がコバルト原子上へ流れ込み、Co(II)-NO+の電子状態となったか、あるいはコバルトの電子がNOへ流れ、Co(IV)-NO-の状態となったことを示唆するものである。別途、結合したNOのIRスペクトル測定に成功しており、NO・とNO-状態の中間状態にあることが判明している。今回の測定では未だ、どの構造をとっているのかの決定的な確証は得られていない。したがって、磁化率測定など更なる測定が必要である。
4.その他・特記事項(Others)
(1) 山口瑛名 名古屋工業大学副学長表彰受賞(Jan. 2019)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) ○服部優里・小澤智宏・猪股智彦・増田秀樹, 第29回金属の関与する生体関連反応シンポジウム(SRM2019), 2018年5月
(2) ○Y. Hattori, T. Inomata, T. Ozawa, H. Masuda, The 69th Conference of Japan Society of Coordination Chemistry, Sep. 2019.
(3) ○服部優里・小澤智宏・猪股智彦・増田秀樹, 第9回CSJ化学フェスタ, 2019年10月
(4) ○服部優里・小澤智宏・猪股智彦・増田秀樹, 第50回 中部化学関係学協会支部連合秋季大会 2019年11月
(5) ○服部優里・小澤智宏・猪股智彦・増田秀樹, 第100回春季年会 2020年3月
6.関連特許(Patent)
なし







