利用報告書

三次元細胞シート組織内血管網様構造の構築
白木義基1)、長瀬健一1) 、小林純2)
1) 慶應義塾大学 薬学部、東京女子医科大学 先端生命医科学研究所

課題番号 :S-19-NM-0046
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :三次元細胞シート組織内血管網様構造の構築
Program Title (English) :Construction of microvasculatures within three dimensional cell sheet-based tissue
利用者名(日本語) :白木義基1)、長瀬健一1) 、小林純2)
Username (English) :Y. Shiraki1), K. Nagase1), J.Kobayashi
所属名(日本語) :1) 慶應義塾大学 薬学部、東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
Affiliation (English) :1) Faculty of Phramacy, Keio University, 2) Institute of Advanced Biomedical Engineering
and Science, Tokyo Women’s Medical University

1.概要(Summary)
本研究は、創薬への応用が期待される心臓や肝臓などの細胞から成る、毛細血管網を有する3次元(3D)細胞シート組織モデルの構築を目的とする。その予備検討として、種々のヒト培養細胞の血管新生因子分泌能を評価し、細胞シート組織モデルとして最適な細胞株を選定する。そのために、抗体アレイを用いて3種類のヒト培養細胞 (293FT細胞、HeLa細胞、HEK293細胞)培地中の血管新生因子を定量した。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
 レーザースキャナーSureScan 4900DA
【実験方法】
293FT細胞、HeLa細胞、HEK293細胞を24 wellプレートに6.0×104 cells/cm2で播種し、ウシ胎児血清10%を含む培地中、37°C、5% CO2濃度で24時間培養後、採取した培地200 µLを-30℃で保存した。抗体アレイQuantibody® Human Angiogenesis Array 1を用いて、培地中の10項目の血管新生因子 (angiogenin, Angiopoietin-2 (ANG-2), Epidermal Growth Factor (EGF), Basic Fibroblast Growth Factor (bFGF), Heparin-binding EGF-like Growth Factor (HB-EGF), Hepatocyte Growth Factor (HGF), Leptin, Platelet-derived Growth Factor-bb (PDGF-BB), Placental Growth Factor (PIGF), VEGF) を定量した。レーザースキャナーSureScan 4900DAにより抗体アレイの蛍光スキャンイメージを取得し、Image Jを用いた解析で10種類の血管新生因子の濃度を定量した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
抗体アレイによる血管新生因子10種類の定量結果をFig.1に示す。HeLa細胞はVEGFをわずかに分泌し、その他9種類の血管新生因子は全く分泌しないことがわかった。293FT細胞は血管新生因子をほとんど分泌しなかった。HEK293細胞はPIGFを数ng/mL程度分泌し、わずかなbFGFとVEGFを分泌した。また、温度応答性培養皿を用いて細胞シートを回収および積層化することができたのはHEK293細胞とHeLa細胞であった。以上のことから、HeLa細胞は、主要な血管新生因子の分泌が少なく、かつ積層化細胞シート組織を作製できるヒト細胞株であり、陰性対照として用いることができるとわかった。

4.その他・特記事項(Others)
装置の使用方法についてNIMS竹村氏および高橋氏よりトレーニングを受けた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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