利用報告書
課題番号 :S-18-NM-0027
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :不織布の構造解析
Program Title (English) :Structural analysis of nonwoven fabric
利用者名(日本語) :江角 真一1)
Username (English) :S. Esumi1)
所属名(日本語) :1) 三菱製紙株式会社
Affiliation (English) :1) Mitsubishi Paper Mills Ltd.
1.概要(Summary)
不織布の製造工程において、熱処理を施してバインダー繊維を溶融させ、繊維同士を融着させてシート化することが一般的であるが、熱処理製造条件が変わることで不織布の熱履歴状態が異なり、場合によって、後加工工程に及ぼす影響に変化が生じることがある。
ラマン分光は繊維の結晶性を評価するのに有効な手法であることから、不織布内部の低結晶性領域の分布状態を把握する手段としての可能性を検討した。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
高速レーザーラマン顕微鏡
【実験方法】
装置名:ナノフォトン社製RAMANplus
レーザー波長:532nm
レーザー出力:100%
回折格子:600
対物レンズ倍率:20倍
NDフィルタ:205
スキャンモード:XZ image
測定方法:C=O伸縮ピーク(1,730cm-1)の半値幅から検体断面の結晶化度合い分布を評価。
3.結果と考察(Results and Discussion)
XZ軸平面(0.4mm×0.1mm)の半値幅を1μm角の平均値として測定できたが、条件の異なるサンプルいずれも同様のイメージング画像となり、明確な差として表すことができなかった(Fig.1)。
Fig.1 Image of XZ axial section
試料表面からXZ軸方向に測定した場合、半値幅の異なる繊維がランダムに配列する不織布では、周囲の影響を受けやすく正確な値が読み取れなかった可能性があった。
今後、試料をカットした断面から分析するXY軸方向にて、周囲からの干渉を抑える分析条件を見出すことで、明らかな差の出るイメージング画像の取得及び数値管理ができるか検討する。
4.その他・特記事項(Others)
今回の分析にあたり、NIMSナノテクノロジー融合ステーション李潔様より装置の使用方法、測定データの解析方法及び技術相談にご対応頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
(1) Y. Yamada, R, Obi and K, Kato (山田 裕介,小尾 留美名,加藤 一史), “単層又は複層ポリエステル長繊維不織布及びそれを用いた食品用フィルター”, WO2016/159266, 平成28年10月6日