利用報告書

中枢神経系における微小核の新規形成機構と機能の解明
矢野更紗1), 窪谷ひかり2)
1) 筑波大学 生命環境科学研究科 2) 筑波大学 生命環境学群 生物学類

課題番号 :S-19-NM-0031
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :中枢神経系における微小核の新規形成機構と機能の解明
Program Title (English) :Micronuclei released from neurons regulate the microglial activity during brain development
利用者名(日本語) :矢野更紗1), 窪谷ひかり2)
Username (English) :Sarasa Yano1),Hikari Kubotani2)
所属名(日本語) :1) 筑波大学 生命環境科学研究科 2) 筑波大学 生命環境学群 生物学類
Affiliation (English):1) Grad. Sch. of Life and Envrn. Sci., 2)The Collage of Biol. Sci., Univ. of Tsukuba

1.概要(Summary )
脳の発生過程においてミクログリアが異常な神経細胞を認知・除去する分子機構の一端として、大脳皮質の神経細胞に見られる微小核に着目した。微小核は、がん細胞などゲノム不安定性が高い細胞で高頻度に見られ、核酸と核膜から構成される直径1 μm程度のオルガネラである。本課題では神経細胞によるミクログリアの微小核の形成機構と機能を明らかにすることを目的としている。これまでに神経細胞から微小核がミクログリアに伝播する可能性、また、神経細胞からの分泌された因子がミクログリア自身の微小核を産生させる可能性を見出した。今年度は、神経細胞から分泌されており、ミクログリアの微小核形成を誘導する因子の同定を試みた。

2.実験(Experimental)
 これまでに、神経細胞の培地上清をミクログリア細胞に添加することで、微小核陽性ミクログリア細胞数が増加することを明らかにした。そこで、神経細胞の培地上清に含まれる微小核形成誘導因子を同定するため、様々な分画分子量で限外濾過をした培地を用いてミクログリアを培養し、微小核陽性ミクログリア数を定量した。そして、ミクログリアの微小核形成誘導因子を含む限外濾過画分をLC-MS/MS (Q-Exactive)で解析した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
ミクログリア細胞を様々な分画分子量で限外濾過した神経細胞培地上清で培養し、微小核陽性ミクログリア数を定量した。その結果、ミクログリアの微小核形成の誘導を起こす画分を同定することができた。次に、微小核形成誘導因子を含む可能性が見出された限外濾過した画分をLC-MS/MS (Q-Exactive)で解析した。しかしながら、同定されたタンパク質は培地の構成成分やケラチンが主要であり、神経細胞から分泌されている因子は同定できなかった。
 今回解析に用いたサンプルは、小さなスケールで培養した神経細胞から回収した培地上清であり、解析前のタンパク質濃度も低かったことから、サンプルに含まれるタンパク質濃度が解析に十分でなかったことがあげられる。今後は、大きいスケールで培養した神経細胞の培地上清を用いて、未知因子を同定する。また、神経細胞から放出された微小核の構成因子を同定するため、超遠心で回収したペレット画分も合わせて解析する予定である

4.その他・特記事項(Others)
機器の使用にあたりNIMS竹村氏、服部氏の支援を受けた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)矢野更紗, 窪谷ひかり, 佐藤伴, 千葉智樹, 鶴田文憲, The damaged neuron releases the micronucleus to microglia during the developmental stage., 第42回神経科学学会, 2019年7月26日
(2) Sarasa Y., Hikari K., Ban S., Tomoki C, Fuminori T. Micronuclei released from neurons regulate the microglial activity during brain development., Society for Neuroscience (SfN) Annual Meeting 2019., 2019年10月22日.

6.関連特許(Patent)
特になし

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