利用報告書
課題番号(Application Number):S-16-NR-0044
利用形態(Type of Service):技術代行
利用課題名(日本語) :二次元分子ネットワークの構築と機能開拓
Program Title (English) :Construction of Two-Dimensional Networks and Development of their Functions
利用者名(日本語) :戸部 義人
Username (English) : Yoshito Tobe
所属名(日本語) :大阪大学大学院基礎工学研究科
Affiliation (English) : Graduate School of Enginnering Science, Osaka University
1.概要(Summary )
固液界面における精密分子認識機能をもつ二次元分子ネットワークを開発する目的で、アルキル鎖と末端にフェニレン基をリンカーとして亜鉛ポルフィリン錯体が結合したアルキル鎖が交互に結合した三角形分子を構成単位とする分子量3000を超える以下の巨大分子(C198H234O9N1264Zn3)を合成した。
この分子の構造を確定するためMALDI-Spiral-TOF-MS(JEOL製S3000)にて高分解能質量分析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
分子構造を以下に示す。大阪大学の当該部局におけるFAB法を用いた測定ではプリカーサーイオンピークが検出されなかったため、MALDI法による測定を依頼した。
サンプルは、THFに溶かし、マトリックスにはDCTB(20mg/ml in CHCl3)、カチオン化剤としてTHF-Na(1mg/ml)、キャリブレーションにはPEG3000を使用して、測定していただいた。
図1に示すように、PEG3000のピークとともに、目的物のプリカーサーイオンピークとNaイオンが付加したカチオン付加イオンピークが強く観測された。
図1.検体のMALDI マススペクトル
図2に示すように、C198H234O9N1264Zn3の理論値である分子量3115.6091に対してm/z 3115.6066が観測され、同位体分布も理論のものとよく一致したことから、目的化合物の組成が証明され、他のスペクトルデータとあわせて検討することによりその構造が確定した。
図2.プリカーサーイオン部分スペクトルの拡大(上)と理論のスペクトル(下)
4.その他・特記事項(Others)
本研究は科学研究費補助金、基盤研究(A)課題番号15H02164の支援のもとに行われた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K. Iritani, K. Tahara, K. Hirose, S. De Feyter, and Y. Tobe, Chem. Commun., Vol. 52 (2016) p.p. 14419-14422.
6.関連特許(Patent)
なし







