利用報告書
課題番号 :S-19-OS-0012
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :低RAショットキートンネル接合を用いた次世代Geスピンデバイスの創成
Program Title (English) :Next generation Ge spin devices with low RA Schottky tunnel junction
利用者名(日本語) :山田道洋、 内藤貴大
Username (English) :M. Yamada, T. Naito
所属名(日本語) :大阪大学大学院基礎工学研究科
Affiliation (English) :Grad. School of Engineering Science, Osaka University
1.概要(Summary )
次世代半導体デバイスの一つとしてGeスピントロニクスデバイスは電子デバイスだけでなく光デバイス応用も可能であり期待されている。その一方で、室温でのスピンデバイス性能は、低いのが現状である。最近、室温でのスピンデバイス性能向上に向けてSiGeなどを用いた歪み印加が重要であることが理論的にも報告されている[1]。本研究課題では、スピン性能の向上に重要な歪み印加によるスピン緩和抑制について報告する。
2.実験(Experimental)
【利用装置】
【実験方法】
はじめに、分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、Si (111)基板上に低温成長(350 oC)高温成長 (700 oC)Ge緩衝層を成長した。歪み印加スピン伝導層としてPを高濃度(~1019 cm-3)ドープしたSi0.1Ge0.9層を成長した。その後、スピン注入源として用いる高スピン偏極材料のCo2FeAl0.5Si0.5を低温MBE法により成長した。成膜試料を電子線リソグラフィー、Arイオンミリング、反応性イオンエッチング(RIE)により横型スピンバルブ素子[Fig.1(a)]へと加工した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
歪みSiGeでは、キャリア濃度が同じチャネルで移動度の向上が見られ、歪みによる効果であると考えられる[Fig. (b)]。このような歪みSiGeチャネルを用いて、Fig.1 (a)に示すような電極配置で非局所スピン信号の観測を行なった。Fig. 1(c)に示すように強磁性電極の磁化配置に依存した抵抗値変化の観測に成功した。非局所スピン信号強度は、歪み緩和SiGeの場合と比較して2桁以上の増大に成功した。Hanle曲線のフィッティングから、スピン緩和時間が0.6 nsと見積もられる。この値は歪み緩和SiGeと比較して、3倍程度増大しており、歪み印加によるスピン緩和の抑制を実験的に始めて明らかにした。
4.その他・特記事項(Others)
<参考文献>:[1] O. Chalaev et al., Phys. Rev. B 95, 035204 (2017)
<謝辞>:装置使用方法に関してご説明頂きました大阪大学分子・物質合成PFの支援員の方に感謝致します.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Naito et al., (submitted).
(2) T. Naito et al., 第80回応用物理学会秋季学術講演大会,2019年9月18~21日.
6.関連特許(Patent)
なし。