課題番号 ：S-17-NU-0005
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：修飾タンパク質の機能性解析に関する研究
Program Title (English) ：Functional analysis of oxidatively-modified-protein
利用者名（日本語） ：柴田貴広1), 中島史恵1), 今堀夏奈美1), 神谷孝平1), 下村沙也子1), 平出直哉1),
長谷川加奈1)
Username (English) ：T. Shibata1), F. Nakashima1), K. Imahori1), K. Kamiya1), S. Shimomura1), N. Hirade1), K. Hasegawa1)
所属名（日本語） ：1) 名古屋大学大学院生命農学研究科
Affiliation (English) ：1) Grad. Sch. of Bioagric. Sci., Nagoya Univ.,

１．概要（Summary ）
自然抗体は、生体防御における自然免疫系に関与する重要な分子である。これまでに、ポリフェノールなどの食品成分と相互作用したタンパク質が、自然抗体により認識されるということを見出してきた。そこで、ポリフェノールにより修飾を受けたタンパク質の機能性および構造特性を明らかにすることを目的として研究を行った。また、ヒト血清アルブミン（HSA）は、酸化修飾を受けることにより、その立体構造が変化し、リガンド結合能などの機能への影響が予想されたため、酸化修飾HSAの構造変化について解析を行った。また、植物が有する小胞の粒子径の測定も行った。

２．実験（Experimental）
カテキン類などのポリフェノール類や、ポリフェノールオキシダーゼ処理したポリフェノール類と、HSAを反応させたのち、その粒子径およびゼータ電位をZetasizer Nano ZS（Malvern社製）により測定した。また、低分子のシステインもしくはホモシステイン付加した血清アルブミンの構造的および機能的変化を検討するため、タンパク質の疎水性領域に結合する蛍光プローブBis-ANSおよび、アルブミンのリガンド結合ドメインに特異的な蛍光プローブDNSAおよびBD140を処理したのち、FP-6500（JASCO社製）により蛍光分光光度計による蛍光強度を測定した。また、野菜より調製した小胞の粒子径をZetasizer Nano ZS（Malvern社製）により測定した。
利用装置
・動的光散乱Malvern社製 Zetasizer Nano ZS
・蛍光分光光度計 JASCO社製　FP-6500
３．結果と考察（Results and Discussion）
　Zetasizer Nano ZSでゼータ電位を測定したところ、ポリフェノールオキシダーゼ処理したカテキンと修飾させることにより、HSAの電荷が負に傾くことがわかった。また、酸化修飾HSAのリガンド結合活性を評価した結果、ホモシステイン化修飾によりサイトIおよびサイトIIの結合活性が上昇することを見出した。さらに、ホモシステイン化されたタンパク質の疎水領域の増大も確認された。これらの結果から、ホモステイン化によるHSAの構造および機能変化が示唆された。

４．その他・特記事項（Others）
なし

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) F. Nakashima, T. Shibata, K. Kamiya, J. Yoshitake, R. Kikuchi, T. Matsushita, I. Ishii, J.A. Giménez-Bastida, C. Schneider, and K. Uchida, Scientific Reports, Vol. 8, (2018) 931
(2) 中島史恵、柴田貴広、菊地良介、松下正、内田浩二: S-チオール化血清アルブミンによる炎症誘導機構の解明. 日本農芸化学会2018年度大会, 平成30年3月17日
(3) 今堀夏奈美、三輪恭行、李相美、柴田貴広、内田浩二: ポリフェノールオキシダーゼによる茶カテキンの自然抗体リガンド生成能の増強. 日本農芸化学会2018年度大会, 平成30年3月17日

６．関連特許（Patent）
なし