利用報告書

光るコラーゲンによるコラーゲン分泌課程の解析
田中利明
東京工業大学生命理工学院

課題番号 :S-17-NM-0003
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :光るコラーゲンによるコラーゲン分泌課程の解析
Program Title (English) :Analysis for secretion and processing of collagen with live-imaging
利用者名(日本語) :田中利明1)
Username (English) :T. Tanaka1)
所属名(日本語) :1) 東京工業大学生命理工学院
Affiliation (English) :1) Dep. of Life Sci. and Tech., Tokyo Institute of Technology

1.概要(Summary )
従前のコラーゲン研究ではコラーゲンの分泌過程に関する情報はほとんど明らかにされておらず、このことがコラーゲンの異常を起因とする多くの難治性疾患の原因になっていると考えられる。申請者は、従前法では不可能であったコラーゲン分泌過程を、新たな技術(光るコラーゲン)の開発により解析可能とした。骨芽細胞などの細胞にこの技術を適用するによりコラーゲン分泌過程を解析し、難治性疾患の原因解明に資するデータを得る。
2.実験(Experimental)
I型コラーゲンの分泌過程を線維芽細胞株 NIH-3T3および骨芽細胞株 MC-3T3 により解析するため、各細胞株に「光るコラーゲン」発現 DNA を導入し、安定細胞株の作成を行った。安定細胞株の確認はWestern Blotting により実施し、さらに、MC-3T3細胞については、株化後、アリザリンレッド染色による石灰化能と継代による蛍光シグナル強度変化の確認を行った。
使用装置:CO2インキュベーター、蛍光位相差顕微鏡、Western Blotting検出器
3.結果と考察(Results and Discussion)
NIH-3T3 細胞では、一過的発現で光るコラーゲンの見られた細胞は経時的に死滅に至り、安定現株樹立には至らなかった。一方、MC-3T3細胞に関しては安定発現細胞株3個の単離に成功し(上写真:樹立細胞株の蛍光像)、Western Blotting により光るコラーゲンの発現を確認した。樹立した細胞株の継代による蛍光減衰はNDであり、分化誘導後には石灰化能を保持している結果が得られた。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本研究の遂行に関して機器および技術提供を頂いた(株)資生堂 常長誠 博士およびNIMS箕輪貴司 博士に深く感謝いたします。実験操作および技術支援を頂いたNIMS森田浩美 氏、東工大 山本夏恵 氏、円由香 氏、中川真理 氏、およびバイオ研究基盤支援総合センター 池田桂子 氏に深く感謝いたします。また、「光るコラーゲン」プロジェクトの研究展開について親身にディスカッションを頂いた東工大 物質理工学院 生駒俊之 先生 並びにNIMS融合ステーション長 花方信孝 先生に深く感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K. Kawaguchi, A. Endo, Y. Madoka, T. Tanaka, M. Komada. Biochemical and Biophysical Research Communications, in press.
(2) 田中利明. 第3回LiHUBフォーラム、2017年11月17日.
(3)田中利明. 「テラヘルツ波によるコラーゲン材料評価系構築プロジェクト」研究会議 (NICT)、2017年12月1日.
(4)田中利明、生駒俊之. 生命科学系学会合同年次大会(第40回日本分子生物学会), 2017年12月6-9日.
6.関連特許(Patent)
(1) 田中利明、生駒俊之、田中順三, 「コラーゲン融合タンパク質、及びそれを用いた薬剤のスクリーニング方法」, WO2016152882 A1, 2016年9月29日

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