利用報告書
課題番号 :S-19-NM-0006
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :光るコラーゲン発現誘導可能な細胞株の樹立とコラーゲン生合成過程の解析
Program Title (English) :Establishment of cell lines having inducibility of tagged collagen
利用者名(日本語) :田中利明1)
Username (English) :T. Tanaka1)
所属名(日本語) :1) 東京工業大学生命理工学院
Affiliation (English) :1) Dep. of Life Sci. and Tech., Tokyo Institute of Technology
1.概要(Summary)
コラーゲンは、生体構成タンパク質の 30% 以上を占める「ありふれたタンパク質」であるが、その生合成過程には未解明部分が多く、そのためにコラーゲン異常を起因とする臓器線維症や膠原病などは難治性疾患となっている。利用者は、従前法で解析不可能なコラーゲン生合成過程を、新技術(光るコラーゲン)により分子細胞レベルで解析可能にした。本研究では、病因細胞でのコラーゲン生合成過程を解析し難治性疾患の原因解明に手がかりを得るため、光るコラーゲン安定発現細胞株を樹立する。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
セルアナライザー ・CO2インキュベーター
セルソーター ・蛍光位相差顕微鏡
【実験方法】
今年度はヒト由来細胞株の樹立に取り組んだ。昨年度、樹立に成功したマウス細胞株と同様の方法により、 ヒト正常不死化線維芽細胞株HDF/TERT1に対し光るコラーゲン発現ベクター導入を行った。導入後、48時間~1ヶ月で光るコラーゲン発現細胞をセルソーターにより選別した。これらを培養した後、セルアナライザーにより光るコラーゲンが有するGFPおよびmCherry の蛍光波長の検出を行った。また、発現ベクターが持つ薬剤耐性を利用して細胞株の選別を行った。(下:Fig.1: Screening of GFP and mCherry double positive cells. Cells in Area D are double positive ones.)
3.結果と考察(Results and Discussion)
ベクター導入後、48時間で選別したポジティブ細胞は、培養継続により消滅した。これまでにコラーゲン発現量の増加は細胞生存に不利に働くことを認めており、HDF/TERT1 細胞は特に感受性が高い可能性が考えられた。また、発現ベクターが持つG418 薬剤耐性を利用してポジティブ細胞の選別を行ったところ、細胞の自家蛍光が上昇しGFPシグナルが検出できなくなった。結果として今年度はHDF/TERT1の安定発現細胞株を樹立することはできなかった。この原因として、細胞の性質が大きいと考えられたことから、別の細胞株 BJ5ta を導入し、引き続き細胞株化を進めることにした。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本研究の遂行に関して機器、技術、実験に関する支援を頂いたNIMS森田浩美 氏、高橋みどり氏、箕輪貴司 博士、東工大 守矢恒司 氏に深く感謝します。「光るコラーゲン」プロジェクトについてアドバイス頂いた東工大 生駒俊之 先生並びにNIMS花方信孝 先生に深く感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 田中利明、et al. 可視化I型コラーゲンによるコラーゲン分泌およびプロセシング過程のライブイメージング解析. 第71回日本細胞生物学会・第19回日本蛋白質科学会 合同年次大会(選抜口頭発表)、2019 年 6月26日.
(2) 田中利明. 可視化I型プロコラーゲンのライブイメージングによる細胞内領域の可視化. 第3回オルガネラゾーン研究会(選抜口頭発表)、2019年11月27日.
(3) 守矢恒司、田中利明 et al. 可視化I型コラーゲンを用いたコラーゲン分泌のハイスループット定量解析法. 第42回日本分子生物学会年会. 2019 年 12月6 日.
6.関連特許(Patent)
(1) (1) 田中利明、生駒俊之、田中順三, 「コラーゲン融合タンパク質、及びそれを用いた薬剤のスクリーニング方法」, WO2016152882 A1, 2016年9月29日.







