利用報告書
課題番号 :S-16-MS-1049
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :光誘起磁性・伝導性の機能性メカニズム解明研究
Program Title (English) :Clarification of Functional Mechanism for Photo-Magnetic Properties and -Conductivity
利用者名(日本語) :古川貢1), 丸山裕久2),阿部匡矩2),遠藤夏実3)
Username (English) :K. Furukawa1), Y. Maruyama2), M. Abe2), N. Endo3)
所属名(日本語) :1) 新潟大学研究推進機構機器分析センター, 2) 新潟大学大学院自然科学研究科,3) 新潟大学理学部
Affiliation (English) :1) Center for Instrumental Analysis, Institute for Research Promotion, Niigata University, 2) Graduate School of Science and Technology, Niigata University, 3) Faculty of Science, Niigata University
1.概要(Summary )
近年,光により磁性や伝導性を制御する光磁性・伝導性のは,分子性デバイス開発という観点から着目されており,様々な物質群が開発されている.本研究課題では,アドバンスドESRを用いて,光と磁性・伝導性が複雑に絡んだ機能性メカニズムを解明することが目的である.
図1. TTF誘導体の分子構造.
ニトロキシドラジカルを有するTTF誘導体は,ニトロキシドラジカルのアクセプター性を利用した光誘起伝導性を示すことが明らかにされている.また,定常状態においてはニトロキシドラジカル部分に磁性を担う局在スピンを有することより,伝導電子と局在スピンが密接に絡んだ複雑な光機能を示すことが期待される.そこで,光誘起磁性・伝導性のメカニズムを解明することを目的として,時間分解ESR測定を行った.
2.実験(Experimental)
時間分解ESR測定は,分子科学研究所 機器センター所有のBruker E680 ESR分光器とSpectraPhysics MOPO ナノ秒パルスレーザーを同期させて測定した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
図2に,TTF誘導体の粉末試料における時間分解ESRスペクトルを示した.赤はAbsorption信号,青はEmission信号を示している.Emission信号は,光照射前に観測されない信号であり,励起状態が関与した信号と見なすことができる.また,TTF単体で同様の実験を行ったところ,Emission信号が得られなかった.ラジカルが結合したTTF誘導体のみで信号が得られたことから,図1の信号は,TTF部分の励起三重項の信号ではなく,TTF部位からラジカル部位への電子移動により形成される電荷分離状態に由来する信号と帰属できる.TTF誘導体の光誘起伝導性には電荷分離状態が関与している直接的証拠を得た.
図2. TTF誘導体の時間分解ESRスペクトル.
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 阿部匡矩,古川貢,堀切一樹,藤原秀紀,第10回分子科学討論会, 平成28年9月13日.
(2) 阿部匡矩, 古川貢,堀切一樹,藤原秀紀,日本化学会第97春季年会, 平成29年3月16日.
6.関連特許(Patent)
なし







