利用報告書

共同研究不飽和結合へのヘテロ原子複数付加反応の開発
野元昭宏1), 森本積2), 小川昭弥1)
1) 大阪府立大学大学院工学研究科, 2) 奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科

課題番号 :S-20-NR-0019
利用形態 :共同研究不飽和結合へのヘテロ原子複数付加反応の開発
利用課題名(日本語) :
Program Title (English) :Multiple Addition of Heteroatom Groups to C-C Unsaturated Bond
利用者名(日本語) :野元昭宏1), 森本積2), 小川昭弥1)
Username (English) :A. Nomoto1), T. Morimoto 2), A. Ogawa1)
所属名(日本語) :1) 大阪府立大学大学院工学研究科, 2) 奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University, 2) Graduate School of Materials Science, Nara Institute of Science and Technology

1.概要(Summary )
ヘテロ元素と呼ばれる有機カルコゲン (S, Se, Te) 化合物やリンなどを、1分子内に複数組み入れることは一般的に多段階反応を経ることが多く、非常に限られたものとなっている。このような化合物の短工程での合成経路の確立は、今後非常に重要な課題となっている。
そこで本研究では、不飽和結合に対し種々のヘテロ元素を簡便に複数導入可能な反応系の構築を目指し、検討を行った。化合物の同定は、奈良先端大ナノテクノロジープラットフォームでの高分解能質量分析装置によって行った。

2.実験(Experimental)
Table 1の反応に示すように、アルゴン雰囲気下で、ジフェニルホスフィンオキシド(0.20 mmol)およびアルケン(1.00 mmol)を、シュレンク管に入れ、無溶媒条件下、反応物にキセノンランプ(500 W)を室温で18時間照射した。 反応終了後、反応混合物は溶離液としてイソヘキサン/酢酸メチル溶剤系を使用したシリカゲルでの分取薄層クロマトグラフィー、またはシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物を単離、精製した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
多くの反応基質において付加反応は良好に進行し、ヘテロ原子が複数導入された生成物が確認された。(Table 1)。興味深いことに、アリルフェニルエーテル2cの場合2つの分子が付加した生成物 (4ac) が28%の収率で得られた(entry 3)。

4.その他・特記事項(Others)
本研究は奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の垣内喜代三教授、森本積准教授、西川嘉子技術職員、片尾昇平技術職員の御協力により推進されました。深く御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Tran, D. P., Nomoto, A., Ogawa, A. et al., Res. Chem. Intermed., in press.
6.関連特許(Patent)
なし。

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