利用報告書

分子修飾した透明電極表面のXPS解析
桑原貴之
金沢大学 理工研究域

課題番号 :S-15-JI-0014
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :分子修飾した透明電極表面のXPS解析
Program Title (English) :XPS analysis of the surface of molecular-modified transparent electrodes
利用者名(日本語) :桑原貴之
Username (English) :Takayuki Kuwabara
所属名(日本語) :金沢大学 理工研究域
Affiliation (English) :College of Science and Engineering, Kanazawa University

1.概要(Summary )
有機薄膜太陽電池の窓電極材料は、透過性や電気抵抗に加え、発電層で発生した電荷を効率よく捕集する機能が要求される。電荷捕集効率の増加のためには、界面抵抗が重要であり、界面でのエネルギーミスマッチの改善や物理的な空隙の抑制、内蔵電場の向上などのアプローチが報告されている。本研究室では、透明電極表面にアミン化合物を修飾させることで、有機太陽電池の電池性能が向上することを見出しており、その電極表面の効果を明らかにするために、XPSを用いて各種元素の結合エネルギーを評価した。
2.実験(Experimental)
使用機器:島津クレートス社製 AXIS-ULTRA DLD、集束イオンビーム加工装置・FIB(SIIナノテク社製 SMI3050)
実験手順(技術代行):光電変換特性を評価した逆型有機薄膜太陽電池(基板構造:アミン修飾ITO電極)をFIBによってカットして、これを測定サンプルとした。この試料のXPS測定を行い、各種元素(C, N, O, Inなど)結合エネルギーを調べた。本実験では、ITOへの修飾剤として、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン(以下、BAP)を用いた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 図1にBAP修飾ITOのXPSスペクトル(N 1s)を示す。400 eV付近にアミノ基由来のN 1s軌道のピークが観察され、これはBAPがITO表面に対して単分子吸着していることを示唆している。また、1つのピークをデコンボリューションすると、3つのピークに分解された。この時に、3つのピークの結合エネルギーは400.2 eV, 401.3 eV, 403.7 eVと見積もられ、高エネルギー側の2つのピークから、BAP中のアミノ基のプロトン化による化学結合が示唆された。この結果は、BAPがITO表面に無数に存在する表面水酸基(固体酸)と酸塩基反応を起こして、電気二重層を形成していることを意味し、別測定により得られているITO電極のIPの減少と太陽電池性能の向上を説明できる強い証拠であるといえる。

4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本支援に対応してくださったJAIST 村上達也氏にこの場を借りて感謝申し上げる。また、下記論文内のAcknowledgmentsにて、村上氏と本ナノテクノロジープラットフォーム事業への謝辞を記載した。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Factors affecting the photovoltaic behavior of inverted polymer solar cells, using various indium tin oxide electrodes modified by amines with simple chemical structures, Takuji Kusumi, Takayuki Kuwabara, Takahiro Yamaguchi, Tetsuya Taima, Kohshin Takahashi, Thin Solid Films, 2015, 591, Part A, 49-54.

6.関連特許(Patent)
なし。

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