利用報告書

分子系ナノ粒子複合カーボンチューブn型熱電材料の開発
宇田 亮子
奈良工業高等専門学校 化学工学科 

課題番号(Application Number):S-16-NR-0064
利用形態(Type of Service):共同研究
利用課題名(日本語) :分子系ナノ粒子複合カーボンチューブn型熱電材料の開発
Program Title (English) :Development of CNT-n-type nanotubes based on Molecular Nano particles
利用者名(日本語) :宇田 亮子
Username (English) :Ryoko Uda
所属名(日本語) :奈良工業高等専門学校 化学工学科
Affiliation (English) :Nara Natl Coll Technol, Dept Chem Engn

1.概要(Summary )
人工色素であるマラカイトグリーン(MG)は酸塩基に応答して水溶性の着色状態(酸性~中性)と疎水性の無色状態(塩基性)を可逆的にスイッチするが、塩基性MGの用途は滅菌を除き、その不溶性のために極めて限定されていた。本研究では機能がスイッチするpH(11.6)付近で塩基性MGが安定な水溶性コロイドを形成すること、また塩基性MGコロイドがナノカーボン材料への安定なn型ドーパントとして作用することを見出した。種々の物質同定法と熱電計測を用い、そのドーピングを詳細に評価した
2.実験(Experimental)
pHを制御したMG水溶液を調製し、別途調整したカーボンナノチューブ(CNT)膜を18時間浸漬、減圧乾燥したものを測定試料とした。この試料に関して、透過型電子顕微鏡による形態観察、XPSによる電子状態評価、大気中高電子分光による仕事関数の評価、熱電特性評価装置による熱電特性評価などの実験を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)

図1 本研究で利用した分子ドーパント
図1に示す分子をドーパントとして用い、そのナノ粒子をCNTと複合化することによりCNTのn型化を検証した。ナノ粒子のサイズはおよそ60nmであること、またCNTネットワークに効率的に固定化されていることが明らかとなった(Fig.1 (a-b))。得られた複合体は大気下で極めて安定なn型熱電特性を示した(Fig.1 (c))。

このようなナノ粒子による熱電特性の制御と増強は下図のようなCNT接合間におけるナノ結晶によるキャリアフィルター効果により説明できる。

4.その他・特記事項(Others)
無し
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Nonoguchi, A.Tani, T. Ikeda, C. Goto, N. Tanifuji, R. M. Uda, T. Kawai, Small 13, 1603420 (2017). カバーピクチャーに採択
(2) S. Sudo, R. Uda, T. Ikeda, Y. Nonoguchi, T. Kawai, 日本化学会第97春季年会、H29年3月16日講演
6.関連特許(Patent)
無し

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