利用報告書

加熱ブドウ糖による新規がん予防物質の推定分子
高橋延昭 1)
1)シンゲンメディカル(株)札幌研究所

課題番号         :S-16-CT-0055
利用形態         :共同研究
利用課題(日本語)    :加熱ブドウ糖による新規がん予防物質の推定分子
Program Title (English) :An estimate molecule of a novel cancer-preventing
compound from heated glucose
利用者名(日本語)    :高橋延昭 1)
Username (English) :TAKAHASHI Nobuaki 1)
所属名(日本語)     :1)シンゲンメディカル(株)札幌研究所
Affiliation (English) :1) Sapporo Inst., Shingenmedical Co., Ltd.

1. 概要(Summary)
ブドウ糖は生命のエネルギーの素である。我々はブドウ糖を加熱処理するとがん予防物質に変換することを見出した。通常、糖は紫外吸光度254nmなどで検出出来ないが、ブドウ糖を加熱するとそれが検出できるようになる。それは分子内に共役結合が新たに生じたためで、新しい物質の誕生を意味する。
2. 実験(Experimental)
先ず、ブドウ糖を通常行う180℃、2時間加熱後、高速液体逆相クロマトグラフィー(HPLC, ab. 254nm)で精製を試みたが、基線が20分に亘り山状になり、物質の単離による構造決定は困難であった。そこで加熱時間を30分に短縮するとHPLC像がピークを示したので、それらを分離して、質量分析計(MS)、核磁気共鳴装置(NMR)に供した。
3. 結果と考察(Results and Discussion)
HPLC像の4.5min、8min、9minに出現するピークを採取して、MS、NMR分析に供した。その結果、4.5min時の物質はレボグルコサンC6H10O5と同定された(Fig.1)、市販のこの物質にはがん予防効果が無かったが、加熱すると予防効果が弱いながら出現した。

(Fig. 1)
一方、HPLC溶出時間8min時に、MSの質量288にピークが存在し、分子式C12H16O8と予想され、NMRによる分子構造と一致した(下図、Fig.2)。このものはヒドロキシメチルフルフラールをアグリコンとするグルコース配糖体であった。

以上のことから、加熱グルコースの活性分子は分子量8,000ほどであることを考慮すると、その配糖体の加熱酸化とともに重合縮合を繰り返し、大きなフラン系化合物に成長するものと思われる。
4.  その他・特記事項(Others)
・謝辞
本研究の遂行にあたりまして、千歳科学技術大学の河野敬一先生、北海道大学の熊木康裕先生にMS、NMRのご指導を頂きました、深く感謝申し上げます。
5.  学会発表(Presentation)
1. N. Takahashi et. al., The 75th Annual Meeting of Japanese Cancer Association, “A determinative experiment of molecular structure concerning heated glucose possessing cancer-preventing function” (Oct. 8, 2016)
6.  関連特許(Patent)
1) 特許, 抗腫瘍剤の製造方法、抗腫瘍食品の製造方法及び抗腫瘍医薬の製造方法, 高橋 延昭, 他
出願番号(2015-183063)

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