利用報告書
課題番号 :S-17-CT-0055
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :加熱ブドウ糖中に発見された新規がん予防物質フルフラール配糖体の合成
Program Title (English) :Synthesis of a novel cancer-preventing substance, furfural glycoside found in the heated glucose
利用者名(日本語) :高橋延昭1)
Username (English) :N. Takahashi1)
所属名(日本語) :1) シンゲンメディカル(株)札幌研究所
Affiliation (English) :1) Sapporo Inst., Shingen-Medical Co., Ltd.
1.概要(Summary)
ブドウ糖を加熱すると分子内に共役結合が新たに生じ新規物質が数種誕生する。それらは加熱温度・時間とともに重合縮合を繰り返し、がん予防物質として検出できる頃にはほぼ分子量8,000以上に成長する。ただ縮合重合の程度はまちまちで分子が正規分布状山形として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)では溶出する。従って、従来の構造決定法によるHPLC精製は不可能なので、我々は加熱時間を短くしてがん予防活性分子の前駆体を探した。そして、それを合成し、加熱処理によりがん予防効果を発揮するものを探索する事とした。
2.実験(Experimental)
前駆体を検出するため加熱時間を短くした。180℃、30min処理でカラメルを作成し、HPLCで4つのピークを検出し、それぞれの構造解析を質量分析計(MS)と核磁気共鳴装置(NMR)で行った。そして、その有機合成の中間体の構造は、千歳科技大ナノテクノロジーPFのNMR(JNM-ECP400)を用いて行った。合成は、現在中間体の合成に成功している。
がん予防の効果判定はラスがん遺伝子で形質転換されたW14がん細胞をヌードマウスに105個移植し、その固形がんの発達を抑えるか否かを、体積を測定することによって判定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
前駆体の一つはヒドロキシメチルフルフルフラール(HMF)をアグリコンとするグルコース配糖体であった(下図)。
そこでこのHMF単独あるいは従来の加熱処理で効果が出現するかを検討した。
HMFはDMSOに溶けるのでHMFを溶解後、5,000倍飲水に希釈し経口投与した。その結果が左図であるが、1段目:DMSOのみ、2段目:HMFのみ、3段目:HMFを180℃、30min、4段目:同条件2hrs群である。加熱するとその予防効果が上昇することが判る。しかしこのままでは水に溶けないことと、がんはグルコースを特異的に取り込む性質を利用して、グルコース配糖体の前駆体を合成し、加熱実験も試みることを計画し、現在進行中である。
4.その他・特記事項(Others)
本研究は共同研究として千歳科学技術大学の大越研人、今井敏郎、河野敬一の各先生と北海道大学の熊木康裕先生にご指導頂きました。深く感謝致します。
5.学会発表(Presentation)
(1) N.Takahashi et. al.、第75回日本癌学会、平成28年10月8日.
(2) N.Takahashi et al.、第76回日本癌学会、平成29年9月29日.
6.関連特許(Patent)
(1) 高橋延昭ら, “抗腫瘍剤の製造方法、抗腫瘍食品の製造方法及び抗腫瘍医薬の製造方法”, 特開2017-057162, 特許 6113800
3.結果と考察(Results and Discussion)
前駆体の一つはヒドロキシメチルフルフルフラール(HMF)をアグリコンとするグルコース配糖体であった(下図)。
そこでこのHMF単独あるいは従来の加熱処理で効果が出現するかを検討した。
HMFはDMSOに溶けるのでHMFを溶解後、5,000倍飲水に希釈し経口投与した。その結果が左図であるが、1段目:DMSOのみ、2段目:HMFのみ、3段目:HMFを180℃、30min、4段目:同条件2hrs群である。加熱するとその予防効果が上昇することが判る。しかしこのままでは水に溶けないことと、がんはグルコースを特異的に取り込む性質を利用して、グルコース配糖体の前駆体を合成し、加熱実験も試みることを計画し、現在進行中である。
4.その他・特記事項(Others)
本研究は共同研究として千歳科学技術大学の大越研人、今井敏郎、河野敬一の各先生と北海道大学の熊木康裕先生にご指導頂きました。深く感謝致します。
5.学会発表(Presentation)
(1) N.Takahashi et. al.、第75回日本癌学会、平成28年10月8日.
(2) N.Takahashi et al.、第76回日本癌学会、平成29年9月29日.
6.関連特許(Patent)
(1) 高橋延昭ら, “抗腫瘍剤の製造方法、抗腫瘍食品の製造方法及び抗腫瘍医薬の製造方法”, 特開2017-057162, 特許 6113800