利用報告書
課題番号 :S-18-JI-0024
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :化合物半導体デバイス内の微視的評価
Program Title (English) :Microscopic characterization in compound semiconductor devices
利用者名(日本語) :佐藤 拓1)
Username (English) :Taku Sato1)
所属名(日本語) :1) (株)アドバンテスト研究所
Affiliation (English) :1) Advantest laboratories Ltd.
1.概要(Summary )
代表的な絶縁膜の中で最もバンドギャップが大きいSiO2 は窒化物半導体デバイスのゲート絶縁膜, 保護膜として有望な材料である. 我々はこれまでにSiO2/GaN構造について, Scanning Transmission Electron Microscopy (STEM)- Electron Energy Loss Spectroscopy (EELS)によるO-K端評価を行い, SiO2/GaN界面近傍において特異的な3 eV幅 のプレエッジが観測されることを見出した[1]. 今回, 追加的なSTEM-EELS測定と併せて, CASTEPを用いた第一原理計算を行い, このプレエッジの起源について調査した.
2.実験(Experimental)
原子層堆積(ALD, Atomic layer deposition)法によって成膜したSiO2/GaN試料について断面のHigh-angle Annular Dark Field (HAADF)観察およびEELS による O-K 端評価を行った. 観察には, 北陸先端大所有のGIF Quantum を備えた JEM-ARM200F を用いた.
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1にHAADF像を示す. 図2にEELSのO-K 端評価結果を示すが, SiO2/GaN界面近傍のみ特異的なスペクトル(プレエッジ)を有する性質の異なった層が検出される. 図3にCASTEPによる遷移エネルギー計算の結果を示すが, GaOXに近いモデルで, プレエッジに近いスペクトルが得られることがわかる. 以上の結果はSiO2/GaN界面近傍にGaと結合したOが存在し, これがO-K端のプレエッジの起源であること示唆している. つまり, EELSスペクトルのプレエッジの評価を応用することで, SiO2/GaN界面近傍のGaの微視的な酸化状態を評価評価できると考えらえれることがわかった.
4.その他・特記事項(Others)
STEM分析は, 北陸先端科学技術大学院大学の東嶺 孝一氏に実施して頂きました. この場を借りて感謝申し上げます.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
[1] 東嶺孝一, 佐藤拓, 鈴木寿一, 第74回顕微鏡学会学術講演会, 久留米シティプラザ, 福岡, 平成30年5月30日.
[2] T. Sato, K. Uryu, J. Okayasu, M. Kimishima, and T. Suzuki, Appl. Phys. Lett., 113(2018)063505.
[3] K. Higashimine, T. Sato, and T. Suzuki, 19th International Microscopy Congress, Sydney, Australia, Sep. 9-14, 2018.
6.関連特許(Patent)
なし.