利用報告書
課題番号 :S-19-NM-0029
利用形態 :装置利用
利用課題名(日本語) :原子層膜のレーザー相転移とその観察
Program Title (English) :Laser induced phase transition in atomic layer film and its observation
利用者名(日本語) :佐藤竜晟1), 橋本克之1)
Username (English) :R.Sato1), K.Hashimoto1)
所属名(日本語) :1) 東北大学理学部物理学科
Affiliation (English) :1) Dept. of Phys. Tohoku Univ
1.概要(Summary )
遷移金属ダイカルコゲナイドの一つMoTe2は、2H半導体相から1T’金属相への相転移に必要なエネルギーが小さいため、容易に結晶構造及び電気特性を変えられる層状物質である。また、2H相と1T’相の両相から成るヘテロ接合が電極とのショットキー接合の改善につながるとして近年注目されている。
今回、2H相のMoTe2フレークに、レーザーラマン顕微鏡でレーザーを照射することで、局所的な1T’相への相転移領域の作製とその評価を行った。
結果として、レーザー照射部内に2H相と1T’相が確認できた。これは、照射部がレーザーによって加熱され、照射部内の一部が2H相から1T’相へ相転移したと考えられる。
2.実験(Experimental)
サンプルは、2H相のMoTe2の結晶から剥離した厚さ15nmのフレークを用いた。相転移領域の作成は、レーザーラマン顕微鏡を用いて、フレークにレーザー強度3mWのレーザーを3μm角で照射することで行った。その後、相転移を誘起しないようレーザー強度を0.05mWまで下げ、相転移の評価を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図(a)にレーザー照射後のフレークの光学顕微鏡像を示す。図(b)にレーザー強度0.05mWで評価した、レーザー強度3mW照射部内と照射部外のラマンスペクトルを示す。レーザー強度3mW照射部外では2H相のピーク(171cm-1、234cm-1)しか見えないのに対し、照射部内では1T’相のピーク(125cm-1、143cm-1)も確認できる。これは、レーザー強度3mWのレーザーを照射することで照射部が加熱され、フレークの一部が2H相から1T’相へ相転移したためであると考えられる。
図:レーザー照射後のフレーク像とラマンスペクトル
(a)レーザー照射後のフレークの光学顕微鏡像。黒点線内がレーザー強度3mW照射領域。(b)レーザー強度3mW照射部内(赤線:(a)の赤枠内で測定)と照射部外(青線:(a)の青枠内で測定)のラマンスペクトル。
4.その他・特記事項(Others)
装置の使用にあたり服部氏、李潔氏の支援を受けた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 佐藤竜晟, 第74回日本物理学会秋季大会, 令和元年9月12日
(2) 佐藤竜晟, 第75回日本物理学会年次大会, 令和2年3月16日
6.関連特許(Patent)
なし。







