利用報告書
課題番号 :S-19-NM-0022
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :合成ポリマーの添加によるタンパク質の安定化メカニズム解明
Program Title (English) :Study on Protein Stabilization Mechanism of Synthetic Polymers addition
利用者名(日本語) :徐 盈佳
Username (English) :Yingjia Xu
所属名(日本語) :JSR株式会社 筑波研究所
Affiliation (English) :JSR Corporation, Tsukuba Research Laboratories
1.概要(Summary )
合成ポリマーBlockmasterTM DB1130およびPA1080が免疫診断分野に使われている抗原(ペプシノーゲン(I)(II), 前立腺特異抗原)の安定化に有効であることを確認できた。タンパク質安定化メカニズムについて,下記の2つの仮説を立てた。仮説1:BlockmasterTMがタンパク質の容器への吸着を抑制する。仮説2:BlockmasterTMが溶液中のタンパク質表面との相互作用により,その高次構造を維持させる。仮説2を検証するため、表面プラズモン共鳴(SPR)装置を用いてBlockmasterTMのタンパク質との相互作用を評価した。
2.実験(Experimental)
表面プラズモン共鳴(SPR)装置(GEヘルスケア ライフサイエンス,BiacoreX100)を利用した。CM5センサーチップにはPSA(前立腺特異抗原)をアミンカップリング法で固定化した(Target level:1000RU)。異なる濃度(0.1 wt%~4 wt%)のDB1130とPA1080のPBS(-)溶液を流動相とし,各溶液をPSAが固定化されたチップとリファレンスチップに流した。DB1130とPA1080のPBS(-)溶液を流す前後のシグナル(RelResp.)変化を測定した(リファレンスシグナルを引いた値を使用した)。
3.結果と考察(Results and Discussion)
PSAが固定化されたセンサーチップにBlockmasterTMのPBS(-)溶液を流す前後でのシグナル(RelResp.)変化が検出されたことから,ポリマーとタンパク質との相互作用が明らかとなった。また,図(a)ではポリマー濃度の増加によりシグナル変化の上昇を確認した。更に,PSA-抗PSA抗体のような抗原-抗体の相互作用と比較すると,図(b)からわかるようにポリマーとPSAの相互作用は非常に弱かった。PSA-抗PSA抗体の結合は強固で非可逆的であり,PBS(-)による洗浄でチップを再生できなかったのに対し,BlockmasterTMとPSAとの吸着はPBS(-)での洗浄により脱離しチップを再生できたことから,バッファー中ポリマーとPSAは吸着-脱離の平衡状態であると推測される。
4.その他・特記事項(Others)
機器の利用にあたり李香蘭博士の支援を受けた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)徐 盈佳, 新井 隆之, 宮路 正昭, JSR TECHNICAL REVIEW,No.127(2020)p.p.23-31.
6.関連特許(Patent)
なし







