利用報告書
課題番号 : S-16-CT-0083
利用形態 : 機器利用
利用課題名(日本語) : 固体機能性材料の表面およびバルク構造と物性の相関研究
Program Title (English) : Studies on correlation of physical properties for surface and bulk structure of solid functional materials
利用者名(日本語) : 高瀬舞, 山中真也,土橋礼奈,高橋里依
Username (English) : M. Takase, S. Yamanaka, R. Tsuchihashi, S. Takahashi
所属名(日本語) : 室蘭工業大学院工学研究科
Affiliation (English) : MURORAN Inst.Tech.
1.概要(Summary )
固体機能性材料の性能向上には,各々の物質の基礎物性を多面的に評価することが重要である.特に,表面ならびにバルクの構造については,それぞれが相関をもって変化するだけでなく,多くのパラメータが多様に存在するため,機能への寄与について決めることは単純ではない.近年,これらに加えて微細な結晶構造や表面状態,さらにはそれらが形作る形状やサイズなどがその機能に影響を与えることが明らかとなっている.本研究では,半導体性の固体金属酸化物や金属,炭素材料や窒化物など様々な組成,形状を有する機能性材料について,基礎物性の網羅的な測定を行う.その結果,機能と物性の相関関係について評価,機能向上に向けた材料の開発を目的とした.
2.実験(Experimental)
・グラフェン分散液中グラフェンの形態観測
水溶媒中に分散しているグラフェンの形態について直接観測を行った.層数,形状,サイズについての情報を取得するため,走査型プローブ顕微鏡をもちいた.
・材料の振動分光による評価
半導体固体微粒子のバルク特性,グラフェンの特性を評価するためにラマン測定を行った.
3.結果と考察(Results and Discussion)
走査型プローブ顕微鏡をもちいたグラフェンの観察では,分散時にもちいる界面活性剤の影響を強く受けることが明らかとなった.界面活性剤付着状態のグラフェンは,通常予測されるよりもはるかに大きな厚さを示し,またその形状を直接観測することは不可能であった
そこで,これらを脱離させることにより,明瞭なグラフェンが観測できるものと期待している.ラマン分光では,得られたスペクトルの形状から,グラフェンであること,単層から数層程度のグラフェンとして分散していることを明らかとした.また,そのサイズの大きいものは,通常予測されるグラフェンのラマンスペクトルよりも,欠陥構造に起因するピークが強く観測され,さらにこれらのピーク強度の相関解析をもとに欠陥構造の詳細情報を得ることが可能となった.
4.その他・特記事項(Others)
該当ありません.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 高瀬舞,日本化学会第97春季年会,2017年3月
(2) 土橋礼奈, 高瀬舞, 山中真也, 空閑良壽, 粉体工学会秋期研究発表会, BP-42, 2016年11月
(3) 土橋礼奈, 高瀬舞, 山中真也, 空閑良壽, 第26回化学工学・粉体工学研究発表会, 4-4, 2017年1月
6.関連特許(Patent)
該当ありません.
謝辞:本測定を遂行するにあたり,千歳科学技術大学の平井悠司専任講師には多大なご協力をいただきました.この場をお借りして,心より御礼申し上げます.







