利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0046
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :固体界面における高分子鎖の凝集状態の解析
Program Title (English) :Analysis of aggregation states of polymers at solid interfaces
利用者名(日本語) :杉本 晋1), 犬束 学2), 田中 敬二1), 2)
Username (English) :S. Sugimoto1), Manabu Inutsuka2), Keiji Tanaka1), 2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院統合新領域学府オートモーティブサイエンス専攻
2) 九州大学大学院工学研究院応用化学部門 (機能)
Affiliation (English) :1) Department of Automotive Science, Kyushu University
2) Department of Applied Chemistry, Kyushu University
1.概要(Summary)
タイヤや繊維強化プラスチックなどのポリマーコンポジットの材料性能は、高分子/異種界面の影響を強く受けることが明らかになりつつある。高分子材料の様々な特性が分子鎖の凝集状態およびダイナミクスと密接に関連していることから、異種界面におけるそれらを理解することが複合材料の高性能・高機能化を設計する上で重要である。
本研究では異種固体界面におけるゴム状高分子の局所コンフォメーションについて表面・界面分子振動解析装置に基づき検討した。
2.実験(Experimental)
試料として、数平均分子量が91kのポリイソプレン(PI)を用いた。示差走査熱量測定に基づき評価したPIのガラス転移温度は211 Kであった。石英プリズムおよび石英基板上にスピンコート法に基づきPI膜を製膜した。得られた膜を貼り合わせることで、(PI/石英)界面のみを有する試料を調製した。スピンコート回転数は2000および4000 rpmとした。石英界面におけるPIの局所コンフォメーションを表面・界面分子振動解析装置に基づき評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1は異なるスピンコート回転数で調製したPI膜の和集波発生(SFG)スペクトルである。石英界面におけるPI膜のSFGスペクトルの形状は回転数に応じて大きく異なった。これまでに、典型的なガラス状高分子であるポリスチレンの場合、界面において局所コンフォメーションが製膜法に依存し、また、分子鎖熱運動性が著しく抑制されることが明らかとなっている。本研究の結果は、ガラス転移温度が室温以下のゴム状高分子であっても、基板界面においては分子鎖熱運動性が著しく抑制され、局所コンフォメーションが容易には緩和しないことを明らかにした。
Figure 1. SFG spectra for PI films at quartz interface prepared by a spin-coating method. Spinning rates were 4000 and 2000 rpm, respectively.
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 固体界面におけるゴム状高分子の構造と緩和挙動、第64回レオロジー討論会、口頭発表、大阪、平成28年10月29日 他学会発表3件
6.関連特許(Patent)
なし。







