利用報告書

固体高分子形燃料電池および水電解セルの研究
永山 まゆみ, 黄 亭維, 吉永 健, 林 灯
九州大学

課題番号 :S-19-KU-0024
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :固体高分子形燃料電池および水電解セルの研究
Program Title (English) :Investigation of PEFC and PEMWE
利用者名(日本語) :永山 まゆみ, 黄 亭維, 吉永 健, 林 灯
Username (English) :M. Nagayama, T. Huang, K. Yoshinaga, A. Hayashi
所属名(日本語) :九州大学
Affiliation (English) :Kyushu University

1.概要(Summary )
本研究では、固体高分子形燃料電池および水電解の両方の役割を担う水電解・燃料電池ハイブリッド触媒開発を行っている。ハイブリッド触媒では白金(Pt)とイリジウム(Ir)が共存し、これらが合金化しているかどうか、酸化状態かどうか等が、燃料電池や水電解セルの性能を左右する。そこで、ハイブリッド触媒の材料解析においてナノテクPF支援を利用した。

2.実験(Experimental)
電子状態測定システムAXIS-ULTRA(島津製作所社製)を用いて、触媒材料中のPtやIrの結合エネルギーを解析した。PtやIrがどのような表面状態で、酸素還元反応(ORR)および酸素発生反応(OER)に寄与しているかを、PtとIrの比を変えることで評価した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
電子状態測定システムAXIS-ULTRA(島津製作所社製)を用いた評価において、Ir(IrOx)/Pt/C触媒中のIrとPtはIr 4fは低エネルギー側に、Pt 4fは高エネルギー側にピークがシフトしたことからIrとPtが合金化していることが確認できた。さらに、Ir(IrOx)/Pt比の異なるIr(IrOx)/Pt/C触媒のIr 4f、Pt 4fのピークシフトを比較したところ、シフト量はIr(IrOx)/Pt比に関わらず同等であることが明らかとなった。別のSEM-EDXを用いた分析で、比較的小さな粒子ではIrのスペクトルが確認されず、Ptのスペクトルのみ確認された一方で、凝集粒子部分ではIrのスペクトルも確認され、Ir(IrOx)/Pt/C触媒中のIrとPtはすべて合金化しているのではなく、Pt粒子単独でも存在していることが分かっている。つまり、作製したIr(IrOx)/Pt/C触媒中では、IrとPtの合金化度は変わらず、Pt比が高いほど単独で存在するPt粒子が多く存在する可能性が示唆された。
また、カーボンフリーのPt/porous Ir(IrOx)の触媒についても、電子状態測定システムAXIS-ULTRA(島津製作所社製)を用いた評価において、Ir 4fは低エネルギー側に、Pt 4fは高エネルギー側にピークがシフトしたことからIrとPtが合金化していることが確認できた。
ここで、ハイブリッド触媒の材料解析結果とORR・OER活性との関連性について述べると、Ir(IrOx)/Pt/C触媒においては、Ir(IrOx)/Pt比が0.81付近で高ORR・OER活性を両立することが明らかとなった。そして、ポーラス構造を有するカーボンフリーハイブリッド触媒のPt/porous Ir(IrOx)においては、担体のporous Ir(IrOx)に比べPtを担持させることで、ORR活性は向上し、逆にOER活性は低下する結果となった。これは Ir 系触媒と比較すると低いOER活性を有するPtIr 合金となったためであると考察した。そこで、OER活性の向上を目的とし電気化学的な酸化を行ったところ、OER活性は向上したものの、ORR活性は低下した。また、表面酸化処理によりORR活性の低下及びOER活性の向上に加え、合金化が抑制されることも分かった。カーボン担体を用いたハイブリッド触媒で示された、IrとPtは合金化する可能性が高いものの、その合金化度は一定であり、Pt、Ir粒子単独でも存在できることを考えると、さらなるPt担持量の向上がORR活性の向上に繋がると考える。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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