利用報告書
課題番号 :S-16-OS-0050
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :垂直配向カーボンナノチューブを電極に用いた微細気泡生成に関する研究
Program Title (English) :Generation of microbubbles using vertically aligned carbon nanotubes
利用者名(日本語) :岡野充典1),宮脇直斗1), 平原佳織1) 2)
Username (English) :M. Okano1), N. Miyawaki1), K. Hirahara1)2)
所属名(日本語) :1) 大阪大学, 工学研究科, 機械工学専攻, 2) 大阪大学, 工学研究科, 附属アトミックデザイン研究センター
Affiliation (English) :1) Dep. Mechanical Engineering, Grad. School of Engineering, Osaka University, 2) Center for Atomic and Molecular Technologies, Grad. School of Engineering, Osaka University.
1.概要(Summary)
カーボンナノチューブ(CNT)を炭素電極として水を電気分解することによって、微細な気泡を生成させる手法の研究を行っている。本研究課題では昨年度に引き続き、電極構造を改善することを目的として、CNT合成時における触媒層のパターニングを行うことにより垂直配向CNTの配向状態の制御を行った。また、開発されたCNT電極をマイクロ流路に組み込み、発生させた気泡に対して流速の及ぼす影響を調べるために、マイクロ流路の鋳型を作製した.
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
・多元DC/RFスパッタ装置:キャノンアルバ製EB1100
・LED描画システム:ピーエムティー製PLS-1010
・マスクアライナー:ミカサ株式会社MA-10
・接触式膜厚測定器:BRUKER製DEKTAK-XT
【実験方法】
1. パターニングCNTの合成
CNT成長場所のパターニングを行うために、フォトリソグラフィ工程を導入し、以下の一連のプロセスを行った。Alバッファー層を10 nmスパッタリング蒸着したSi基板上に、ポジ型のフォトレジストを(TSMR-V50EL-)をスピンコートした。スピンコートは300 rpmで3秒、slopeの設定で5 sec秒、4000 rpmで10秒、3000 rpmで10秒の順に回転数を調整して行った。次にマスクアライナーにてフォトリソグラフィ用のマスクを用いて紫外線を10秒間露光した。マスクは2014年度の機器利用にて作製した、ガラス板上に格子状のCrをパターニングしたものを使用した。露光時間は10秒で行った。露光後、現像用溶媒(NMD-3, 2.38 %)を用いて現像処理を行った。露光後のSi基板を現像液に30秒漬けた後、蒸留水に30秒漬けおくことでリンスした後、ホットプレートを用いて110℃で2分間ベークした。この後、CNT成長触媒である鉄を厚さ2 nmスパッタリング蒸着し、残留レジストを除去すると、パターニングされた触媒層が形成される。このようにして作製した基板を用いてCVDを行うと、垂直配向CNTに四角柱状の穴が配列した形状が作製された。
2. マイクロ流路作製
まずマイクロ流路の形状パターンのフォトマスクを作製した。多元DC/RFスパッタ装置を用いてクロム(Cr)蒸着したガラス基板上に、フォトレジストの密着性を高めるためヘキサメチルジシラザン(HMDS) スピンコートし、続けてポジ型のフォトレジスト(AZ-5206E)をスピンコートした。このレジスト上にLED描画システムを用いて、あらかじめCADで描画したマイクロ流路図のパターンを露光した。その後、現像用溶媒(NMD-3、 2.38 %)に90秒漬け置きして露光部のレジストを溶かした。この溶けた部分のCrを除去するためにエッチング溶液を用いて120秒洗浄した後、100 Hzで超音波振動させたAZリムーバーに3分間漬け置きして基板上の残留レジストを除去した。
次に、このフォトマスクを用いてマイクロ流路雄型を作製した。プラズマクリーナーを用いて洗浄したSi基板上に、シクロペンタノンで希釈したSU-8 3050をスピンコートした。スピンコート後のSi基板を65℃で5分間、続いて95℃で30分間ベークした。この上に、作製したフォトマスクを用いてマスクアライナーで50秒露光し、流路部分にのみ紫外線を照射した。この後、65℃で6分間、続けて95℃で2分間ベークした後、SU-8現像液に150秒漬け置きした。最後に150℃で15分間ベークすることにより、マイクロ流路雄型を得た。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1に、触媒をパターニング蒸着した基板と、これを用いてCVDにより合成した垂直配向CNTの電子顕微鏡像を示す。正方形状の箇所以外の部分のみに長さ数十µmのCNTが配向成長していることが確認できた。これを用いると、作製したホールサイズに応じて均一なサイズの微細気泡が作製でき、従来の手法に比べて長時間捕捉できることが確かめられた。
Fig. 2に、CADで描画したマイクロ流路パターンと、これを用いて実際に作製したフォトマスクを示す。このフォトマスクを用いて作製したマイクロ流路雄型は、厚さが19.3 μmであった。この厚さは、これを用いて作製する流路の高さに相当するが、SU-8 3050とシクロペンタノンの重量混合比およびスピンコート回転数に調節が可能である。まず、これらのパラメータと得られる厚さの関係を調べた。その結果をTable. 1に示した。この値をもとに、高さを調整したマイクロ流路を作製する。流路は、今回作製した雄型にポリジメチルシロキサン(PDMS)を滴下して作製する。これを用いて、今後シリンジポンプで発生させた流れにおける気泡の挙動を観察する。
Table. 1 Control of the mold thickness by rotational speed of spincoater and weight ratio of cyclopentanone and SU-8 (3050).
SU-8:シクロペンタノン スピンコート回転数(rpm) 厚さ(µm)
1:1 3000 3.9
2:1 3000 6.9
3:1 3000 10.9
4:1 3000 12.1
3:1 1000 16.3
4:1 1000 19.3
4.その他・特記事項(Others)
科研費 基盤研究(B)「垂直配向ナノチューブ電極を用いた微小気泡発生源の創成と機能開拓」、平原佳織、H26~H28年度.
・関連する課題番号:F-16-OS-0056
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.
6.関連特許(Patent)
なし.







