利用報告書
課題番号 :S-20-JI-0007
利用形態 :技術代行支援
利用課題名(日本語) :変調熱プラズマを用いたSi/Cナノ粒子の大量生成と評価
Program Title (English) :Evaluation of Si/C Nanoparticles synthesized
by Modulated Induction Thermal Plasma
利用者名(日本語) :田中康規1)
Username (English) :Y.Tanaka1)
所属名(日本語) :1) 金沢大学理工研究域電子情報通信学系
Affiliation (English) :1) Kanazawa University
1. 概要(Summary)
リチウムイオン電池(LIB)は,現在,電気自動車,電子機器など極めて広く使用されている。LIBの普及に従い,LIBの大容量化が益々求められている。LIB の負極材料には現在グラファイトが用いられているが, LIB大容量化のための負極材料としてはSiが注目されている。特にこのSiをナノ粒子化し,Si粒子表面にCを担持あるいはコートさせたSi/Cナノ粒子が,充放電による破砕を抑えた高容量負極材料として提案されている。このようなSi/Cナノ粒子の大量生成手法を開発することが求められる。筆者らは,パルス変調型誘導熱プラズマ(PMITP) および原料間歇供給(TCFF) を用いたナノ粒子の大量生成法PMITP+TCFF法を開発している。本研究ではPMITP+TCFF法で生成したSi/Cナノ粒子のTEM像を取得し,それらの形状・粒子径・組成を検討した。今回はクエンチングガスの導入位相を変更して実験した。
2. 実験(Experimental)
実験では,金沢大学が開発しているPMITP+TCFF法を用いた。PMITPへの時間平均入力電力を25 kW 一定とした。コイル電流の変調度SCL=80%, 変調信号のデューティー比DF=80%, On-time=12 ms固定とした。コイル電流は振幅矩形波で振幅変調した。プラズマトーチ上部からはプラズマ維持用のシースガスとしてArとH2との混合ガスを供給した。このPMITPに対して,原料Si粉体をArキャリアガス流にのせ,水冷チューブを通じて熱プラズマに直接供給した。原料は電磁バルブを用いて間歇的に供給した。クエンチングガスQGとしてArとCH4の混合ガスを導入した。QG導入位置として,トーチ下流の300 mmの位置とした。QGについても導入バルブを開閉し,間歇的に導入した。このQGの導入位相を変更してナノ粒子生成実験を行った。試験後,サンプリングした生成粒子に対しTEM測定を依頼した。
3. 結果と考察(Results and Discussion)
図1は,本実験で生成したナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像の例である。同図から,直径100 nm程度のナノ粒子が生成できていることが確認できる。これらのナノ粒子は中心付近の粒子がSiナノ粒子が主であり,その周囲にCが含まれていることが分かった。またQGの導入条件が,その形状や直径にも大きく影響することが判明した。
図1 生成したナノ粒子のTEM像の例
4.その他・特記事項(Others)
透過型電子顕微鏡(TEM)像測定にあたっては,東嶺孝一技術専門員様,ナノテクノロジープラットフォーム研究員小林祥子様から技術代行支援を受けました。感謝申し上げます。
5. 論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6. 関連特許(Patent)
なし