利用報告書

大腸菌由来スーパーオキシドディスムターゼの金属イオン獲得メカニズム
安齋樹1), 古池美彦2), 向山厚2), 秋山修志2), 古川良明1)
1) 慶應義塾大学理工学部, 2) 分子科学研究所協奏分子システム研究センター

課題番号 :S-18-MS-0005
利用形態 :協力研究(ナノプラット)
利用課題名(日本語) :大腸菌由来スーパーオキシドディスムターゼの金属イオン獲得メカニズム
Program Title (English) :A metal acquisition mechanism in E. coli superoxide dismutase
利用者名(日本語) :安齋樹1), 古池美彦2), 向山厚2), 秋山修志2), 古川良明1)
Username (English) :I. Anzai1), Y. Furuike2), A. Mukaiyama2), S. Akiyama2), Y. Furukawa1)
所属名(日本語) :1) 慶應義塾大学理工学部, 2) 分子科学研究所協奏分子システム研究センター
Affiliation (English) :1) Department of Chemistry, Keio University, 2) Research Center of Integrative Molecular Systems, Institute for Molecular Science

1.概要(Summary)
銅タンパク質が細胞内で銅イオンを確保するためには、銅イオンを特定の銅タンパク質まで運搬する「銅シャペロン」が重要な役割を果たす。例えば、最も主要な銅タンパク質の一つである銅・亜鉛スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)は、CCSと呼ばれる銅シャペロンから銅イオンの供給を受けることが知られている。SOD1は好気条件下で生育する全ての生物に保存され、細胞毒性を発揮する活性酸素であるスーパーオキシドの除去を担う重要な酵素である。CCS遺伝子が欠損することで、SOD1は銅イオンを確保することができずに活性を失うが、一部の真核生物や全ての原核生物では、CCSに対応する遺伝子を持たないにも関わらず、SOD1は銅イオンを結合して活性を呈することが知られている。よって、CCS遺伝子を持たない生物のSOD1は、銅シャペロンを介さずに銅イオンを獲得できるメカニズムを備えていることが推察される。そこで、CCS遺伝子を持たない大腸菌のSOD1(SodC)に着目し、SodCが銅シャペロンなどを介さず、直接に銅イオンを獲得・結合するメカニズムについて検討している。
2.実験(Experimental)
大腸菌にSodCを大量発現させ、各種のカラムクロマトグラフィーによって精製した。SodCへの亜鉛イオン結合については原子吸光法により定量的に分析を行った。また、精製した亜鉛イオン結合型SodCについて結晶化を進め、分子システム構造解析装置(FR-X Synergy, リガク社)を用いて、X線回折像を得た。
3.結果と考察(Results and Discussion)
亜鉛イオンを結合したSodCのサンプル調製を進める過程で、20/37度で長時間(>1日)静置しておくと、亜鉛イオンの配位子として機能していると考えられるアミノ酸残基が酸化されるとともに、亜鉛イオンが解離することがわかった。しかし、4度であれば1週間ほど静置しても亜鉛イオン結合型SodCとして安定に存在することも明らかとなった。さらに、亜鉛イオン結合型SodCの結晶化のための溶液条件についてスクリーニングを進めたところ、微結晶が得られる溶液条件を得ることができた。微結晶にX線を照射したところ、タンパク質性の結晶に特徴的な回折像を得ることができた。現在は、結晶サイズをより大きくするための溶液条件を調整しており、結晶構造解析を進める計画である。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Furukawa, 第56回日本生物物理学会年会, 平成30年9月17日
(2) K. Yoshida, E. Tokuda, Y. Furukawa, メタルバイオサイエンス研究会2018, 平成30年11月16日

6.関連特許(Patent)
なし

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