利用報告書

天然由来高分子の熱分解挙動の評価
小山 靖人
富山県立大学 工学部医薬品工学科

課題番号 :S-20-JI-0008, S-20-JI-0019
利用形態 :技術代行支援
利用課題名(日本語) :天然由来高分子の熱分解挙動の評価
Program Title (English) :Thermal Degradation Behaviors of Natural Polymer-based Chemicals
利用者名(日本語) :小山 靖人
Username (English) :Y. Koyama
所属名(日本語) :富山県立大学 工学部医薬品工学科
Affiliation (English) :Department of Pharmaceutical Engineering, Toyama Prefectural University

1. 概要(Summary )
化学処理した天然高分子について、化成品としての利用を検討している。最近、そのポリマーサンプルがバッチによっては熱分解時に臭気を発生することが明らかとなったため、臭気の原因となるようなポリマーの部分構造を解明し、またその臭気を除去するような精製方法について検討している。
そこで今回、ポリマー中に含まれる臭気成分の分子構造を明らかにすることや、化学精製が低臭化に及ぼす効果を確認すること目的として、技術代行により揮発性成分のGS/MS分析(室温下の臭い成分及び、160 ℃、220 ℃での熱分解時に発生する揮発成分の分析)を実施したので結果を述べる。

2.実験(Experimental)
異なる精製処理をした8点のサンプルと未精製品1点の計9点について、それぞれ50 mg程度のサンプルを送付し、GS/MS分析装置(AccuTOF GCX, 日本電子社製, イオン源:電子イオン化法(EI)、GCカラム:HP-5, アジレント社製、キャリアガス:ヘリウム、GC気化室温度:250 ℃、熱分解装置:JCI-55, 日本分析工業社製、室温下での揮発性化合物の回収・濃縮:気体濃縮フィルターmini-PAT(充填剤:Tenax), 日本分析工業社製、エアーサンプラーシステム, 日本分析工業社製)にて、質量分析を実施していただいた。また得られたMSスペクトルのフラグメントパターンのデータベース解析に基づき、検出成分の推定構造をご提案いただいた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
試料が入ったサンプル瓶の上部からエアーサンプラーシステムを利用して5 L分を吸気し、気体成分を濃縮した。その濃縮したサンプルのGC/MS測定により、室温下での臭い成分を分析した。また、熱分解装置JCI-55を利用し、サンプルを160 ℃及び220 ℃に急加熱した際に生じる揮発成分のGC/MS分析も行った。
精製処理前のサンプルと処理後のサンプルのGC/MSデータを比較した結果、揮発成分の種類やその組成比は精製処理方法に大きく依存していることが明らかとなった。また揮発成分としては、天然由来の低分子化合物や天然高分子の熱分解物だけでなく、化学処理プロセスや化学精製プロセスに用いた反応剤や溶媒も検出された。
今後の研究においても、本装置の活用が極めて有効であることが分かった。

4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本測定はJAIST分子・物質合成プラットフォームの宮里朗夫氏にご担当いただきました。この場を借りて、深く感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
特になし。

6.関連特許(Patent)
特になし。

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