利用報告書
課題番号 :S-20-NM-0040
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :完全損傷前十字靭帯の治癒メカニズムの解明
Program Title (English) :Healing of the injured anterior cruciate ligament of the knee and its effect on the recovery of sensory function.
利用者名(日本語) : 加納拓馬1), 金村尚彦 1), 峯岸雄基1)
Username (English) : Takuma Kano 1), Naohiko Kanemura 1), Yuki Minegishi1)
所属名(日本語) :1) 埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Health and Social Services, Saitama Prefectural University
1.概要(Summary)
膝 前十字靭帯(ACL)は一度損傷すると自己治癒しないとされている。しかし、当研究室ではACL損傷後の膝関節運動を再適正化することにより動物を対象としたACL自己治癒モデルを開発した。しかしACLが治癒するメカニズムについては未だ不明な点が多い。本研究では。当研究室で開発したACL自己治癒モデルを用いて、ACL損傷後の治癒過程における関節内組織の動態を調査することにより、ACLの治癒に関わる因子の探索を行うことにした。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
【実験方法】
対象 Wistar系雄性ラット(12週齢)に対し、前十字靭帯切断群(ACLT)、前十字靭帯切断後関節を制動する関節制動群(CAM)、コントロール群(CTR)に群分けした。実験期間は、手術後12時間, 1日経過後に膝関節を採取した。
- 定量的プロテオーム解析
1. 膝関節の治癒前十字靭帯、膝蓋下脂肪体を採取し、タンパク質保存液に浸漬し、 遠心分離機により全タンパク質を抽出する。得られたタンパク質をインライン液体クロマトグラフィー法(LC)とダンデム質量分析(MS)により分析を行った。LC/MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)解析により、膝関節支配レベルの脊髄を摘出し、プロテオームダイナミクス全体を解析する。膝関節サンプル中のタンパク質やペプチドを同位体標識し、標準サンプルと区別し質量分析を行った。得られたデータから Ingenuity Pathway Analysis (IPA)解析を行い、包括的にタンパクを解析することで、どのタンパクが発現しているかを探索した。
B PCR array 解析
膝関節からACL、採取した後、RNA安定化、抽出の過程を経て、Total RNAの定量及びcDNAの合成を実施した。各サンプルのTotal RNA濃度が均一になるように希釈した後に、PCR array 解析 を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
A プロテオーム解析については、分析中である。
B PCR array解析
CAM群は、CTR群と比較して、Dvl3、Mdk、Actbが多く発現する傾向を認めた。ACLT群は、CTR群と比較して、Egf、Bmp、Adora1発現量が低い値を示す傾向を認めた(結果は一部表示)。細胞分化を担うWntシグナル経路に関連する因子の発現量に違いを認めた。
4.その他・特記事項(Others)
本研究において、機器使用にあたり、研究計画の相談から装置使用のトレーニングや、トラブルに対応など技術支援をNIMS服部氏、竹村氏、吉田氏からいただいた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
該当なし
6.関連特許(Patent)
該当なし