課題番号 ：S-18-NM-0026
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：実用ゴム材料の構造解析
Program Title (English) ：Structural analyses of practical rubber materials
利用者名（日本語） ：丸山　隆之
Username (English) ：T. Maruyama
所属名（日本語） ：株式会社ブリヂストン
Affiliation (English) ：BRIDGESTONE Co.

１．概要（Summary ）
一般消費材や生産材用途としてタイヤ製品等各種実用に供されているゴム材料・部材中で、材料設計に従い配合された各種の素原料・充填材料・薬品類などの不均一な分散、および偶発的に異物として混入した主に粒子形状の不純物などにつき、その組成、分布や特徴的形態を把握したうえで変位や応力など外部負荷への応答を調べ、ゴム物性や性能への影響調査を試みる。

２．実験（Experimental）
物性や性能の異なる各種実用ゴム材料からミクロトームやクライオスタット等により表面平坦な試料を加工作製し、平坦面上に表出する主に粒子形状の組織、ドメインや異物について、その形態や分布、組成詳細などを卓上電子顕微鏡・EDSやナノサーチ顕微鏡（光学・レーザー顕微鏡／AFM）により観察・分析し把握した。
そのうえで試料に伸長変形や摺動による応力などを加え、予め観察された組織や異物、周辺のゴムがそうした変形や応力に対しどのように変化したか、改めて上記の各種顕微鏡により詳細に調べた。

　利用装置：
　・クライオスタット
・卓上電子顕微鏡
　・ナノサーチ顕微鏡

３．結果と考察（Results and Discussion）
クライオスタット等により表面平坦に加工された試料を詳細に面内観察・評価した結果、素原料の配合内容や製造条件の異なるそれぞれのゴム材料に特徴的な組織、ドメインや異物の存在が明らかになり、その形態や分布、組成などを詳細に観察、把握できた。こうした各ゴム材料に伸長変形や摺動による応力などの外部負荷を与えたところ、組織・異物の大きさや組成によっては周辺のゴムとの間で相対的な位置ずれ（永久歪）を生じることで空隙部を生成し、ゴム物性や性能、特にゴム製品の長期品質保証や信頼性等に影響する可能性が強く示唆された（Fig.1）。

Fig.1 観察された異物の位置ずれと空隙部の生成例

今後は更に他の試料観察・評価の手法を併用し性能評価条件の多様化も図ることで、実用ゴム材料の構造と性能の相関をより多面的に調査し、性能に影響が大きい構造的特徴を一層明確化することで製品性能の具体的な改善・向上につなげたい。

４．その他・特記事項（Others）
支援者：箕輪貴司様、竹村太郎様、服部晋也様、李潔様
支援内容：装置取り扱い説明、トラブル対応、サンプル調整へのアドバイスなど

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
なし。

６．関連特許（Patent）
なし。