課題番号 ：S-13-NU-0047
利用形態 ：技術代行
利用課題名（日本語） ：尿素の熱分解による異性体の検証
Program Title (English) ：Identification of　pyrolytically-generated substances for urea
利用者名（日本語） ：猪野　栄一
Username (English) ：Eiichi Ino
所属名（日本語） ：株式会社オプティ
Affiliation (English) ：Opty Co., Ltd.

１．概要（Summary ）
大型乗用ディーゼル車の排気ガス浄化システムにおいて、使用される尿素由来の熱分解析出物が発生する現象が知られている。今回、この析出物の詳細な成分分析を行うことに取り組んだ。

２．実験（Experimental）
・利用装置
　全自動元素分析装置(Perkin Elmer社製2400II)
　NMR装置(Varian社製　OXFORD500)
　固体NMR装置(Bruker社製AS300)
　核磁気共鳴分光装置(Agilent製UnityINOVA700)
・試料は分析用溶媒に可溶なものと不溶なものに分か　れた。それぞれについて上記機器を用いた測定を行うことで分析を進めた。

３．結果と考察（Results and Discussion）
　熱分解析出物は水、DMSOに大部分が溶解するが、未溶解成分が残った。溶解成分は、１H NNRおよび１３CNMR
測定により、尿素由来の環状化合物であるシアヌル酸であることが同定された。固体NMR、元素分析よりより、未溶解成分も尿素由来の化合物であると推定されたが、これらの分析から化合物組成を決定するには至らなかった。
　未溶解成分の溶解性を調べていく中で、ｐH調整により水に可溶となることが判明した。これにより１３ CNMR測定が可能となり、未溶解成分はシアヌル酸生成過程で副生すると考えられるアンメリドであることが判明した(図１)。

図１.　熱分解析出物（Sample）の13C NMRスペクトル。

４．その他・特記事項（Others）
本課題を進めるに当たり、名古屋大学坂口特任教授、近藤氏(NMR測定)、林氏(元素分析)の協力をいただいた。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
なし

６．関連特許（Patent）
なし