利用報告書
課題番号 :S-20-NM-0037
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :損傷膝前十字靱帯の治癒と感覚機能の回復への影響
Program Title (English) :Healing of the injured anterior cruciate ligament of the knee and its effect on the recovery of sensory function.
利用者名(日本語) :金村尚彦 1), 加納拓馬1), 峯岸雄基1)
Username (English) :Naohiko Kanemura 1), Takuma Kano 1), Yuki Minegishi1)
所属名(日本語) :1)埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科,
Affiliation (English) :1) Graduate School of Health and Social Services, Saitama Prefectural University
1.概要(Summary)
膝前十字靭帯(ACL)損傷後に再建術を施行し膝関節力学的安定性が回復したにも関わらず、日常生活動作やスポーツ競技時での膝関節の安定性に対する不安感を訴えるケースに遭遇する。損傷後、神経機能の回復が遅延している可能性が推測される。前十字靭帯損傷に対する保存療法として当研究室で開発したモデルラットを対象に、膝関節異常運動を抑制すると、膝関節支配領域である脊髄に対し、神経再生に関する因子について探索を行う。関節不安定性を制動すると、膝関節に神経再生因子にどのような影響を及ぼすのか、動物組織を対象に解析を行った。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
【実験方法】
対象 Wistar系雄性ラット(11週齢)に対し、前十字靭帯切断群、前十字靭帯切断後関節を制動する関節制動群、関節無処置群に分けた。実験期間は、手術後2,4,8週経過後に膝関節支配領域の脊髄を抽出した。
- 定量的プロテオーム解析
1. 実験終了後、膝関節の支配領域である脊髄L3-5レベル摘出し、タンパク質保存液に浸漬し、 遠心分離機により、全タンパク質を抽出する。得られたタンパク質をインライン液体クロマトグラフィー法(LC)とダンデム質量分析(MS)により分析を行った。LC/MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)解析により、膝関節支配レベルの脊髄を摘出し、プロテオームダイナミクス全体を解析する。脊髄サンプル中のタンパク質やペプチドを同位体標識し、標準サンプルと区別し質量分析を行った。得られたデータから Ingenuity Pathway Analysis (IPA)解析を行い、包括的にタンパクを解析することで、どのタンパクが発現しているかを探索した。
B 組織学分析
腰髄3から6の後根神経節を採取し、4週から8週時における免疫組織化学染色を行った。一次抗体に抗Neurofilament 200 Mouse抗体 Clone RT97(1: 500、Sigma – aldrich、Missouri、United States of America)、抗BDNF Rabbit抗体(1: 500、MILLIPORE、Massachusetts、United States of America)を用いた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
A プロテオーム解析については、分析中である。
B 組織学分析において、NF200は、軸索および有髄神経の神経細胞である中型(500 – 950 µ㎡)・大型細胞(950 µ㎡≦)に陽性であった。4週群、8週群ともの有意差を認めなかった。BDNFについては、小型、中型、大型細胞に陽性であったが、群による差を認めなかった。
プロテオーム解析を進め、膝関節における神経機能と中枢神経系の回復過程の関連性を詳細に検討していく予定である。
4.その他・特記事項(Others)
本研究において、機器使用にあたり、研究計画の相談から装置使用のトレーニングや、トラブルに対応など技術支援をいただいた。 免疫組織化学染色の実施については、本学大学院研究科 大学院の宇都弥紀と分析を行った。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
該当なし
6.関連特許(Patent)
該当なし