利用報告書

撥水セルロースフィルムの開発
関根 由莉奈1)

課題番号(Number of project)    :S-20-NM-0042

利用形態(Type of user support) :機器利用

利用課題名(日本語)           :撥水セルロースフィルムの開発

Program title (English)        :Development of hydrophobic cellulose films

利用者名(日本語)             : 関根 由莉奈1)

Username (English)             : Yurina Sekine1)

所属名(日本語)               :1)日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター

Affiliation (English)          :1)JAEA Materials Sciences Research Center

検索キーワード(Keywords)     : セルロースファイバー、疎水性

 

 

1.概要(Summary)

安価かつ簡単に油を吸着可能な材料の開発は未だに必要とされている。一方、近年では、カーボンニュートラルを実現するために、木材の有効活用の重要性が再認識されている。木材の新しい活用法として、セルロースナノファイバーの開発、及びそれらを用いた新規材料開発が盛んに行われている。著者は、最近、セルロースナノファイバーを凍らせて、架橋剤を添加して融解させるだけで、高強度で成型性の高いセルロースナノファイバーゲルが実現することを発見した(参考1)。本研究では、セルロースナノファイバーの有効活用、及び新規な油吸着剤の実現を目指して、撥水セルロースフィルムの開発を行った。

 

2.実験(Experimental)

【利用した主な装置】

AST products、VCA Optima XE

 

【実験方法】

カルボキシメチルセルロースナノファイバーを凍結させ、形成した凍結体に対してクエン酸を添加し、融解させたところ、自立型の高い破断強度を有するゲルを得た。このゲルと疎水性試薬を反応させ、乾燥させることでフィルムを得た。得られたフィルムに対して、接触角測定装置を用いて接触角を測定した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

得られたフィルムに対して接触角を測定したところ、図1に見られるように接触角は90o以上を示し、撥水性であることが明らかになった。接触角は130oの値であることがわかった。一般に110oから150oの場合は高撥水とみなされる。そのため、本研究では高撥水のセルロースフィルムを得ることに成功した。

図1 疎水性セルロースフィルムの接触角測定の様子

 

4.その他・特記事項(Others)

(参考1) Y. Sekine, T. Nankawa, Y. Shunji, T. Sugita, H. Nakagawa, T. Yamada, Eco-friendly carboxymethyl cellulose nanofiber hydrogels prepared via freeze cross-linking and their applications, Journal of Applied Polymer Materials, Vol. 2(2020)p.p.5482-5491.

 

本実験を行うにあたり、分子・物質合成プラットフォームの吉田真樹様、高橋みどり様に装置の使用トレーニングを実施頂きました。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし。

6.関連特許(Patent)

なし。

 

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