利用報告書

擬C2対称性を特徴とするγ-ブチロラクタム系ヒドロキサム酸不斉配位子の合成と錯体形成
宇都口 真彦, 星野 雄二郎
横浜国立大学大学院環境情報学府

課題番号 :S-18-MS-0064
利用形態 :協力研究
利用課題名(日本語) :擬C2対称性を特徴とするγ-ブチロラクタム系ヒドロキサム酸不斉配位子の合成と錯体形成
Program Title (English) :Synthesis of pseudo-C2-symmetric -butyrolactam-based cyclic hydroxamic acids and formation of metal complexes with them
利用者名(日本語) :宇都口 真彦, 星野 雄二郎
Username (English) :M. Utoguchi, Y. Hoshino
所属名(日本語) :横浜国立大学大学院環境情報学府
Affiliation (English) :Graduate School of Environment and Information Sciences

1.概要(Summary )
金属錯体を触媒とした不斉触媒反応は光学活性体の効率的合成法として極めて重要である。N-ヒドロキシアミドとも呼ばれるヒドロキサム酸(HA)は適度な酸性度を有するブレンステッド酸であり、特に第一遷移金属とは安定な5員環キレート錯体を形成することが知られている。しかしながら、鎖状HAがこれまで活発に報告されて来たのに対して、環状HA不斉配位子の報告例は皆無である。HAはその構造上の制約からC2対称性を設計することは不可能であるが、その配位子を構成している基本骨格をC2対称性とすることにより擬似的に設計することは可能である1)。この様に完全なC2対称性から若干修正を加えた配位子を擬C2対称性不斉配位子と呼称する。HAをモデル化合物としてその合成方法の確立を本研究の目的とする。
2.実験(Experimental)
アキラルで入手容易なジベンゾスベレノンから出発し、数工程を経て分子内二重不斉環化反応を経てキラル1,1´-スピロビインダン骨格を構築する。ここからさらに官能基変換を数段階経て-ブチロラクタムを構築し、最終段階として酸化反応を行うことによりN-ヒドロキシ--ブチロラクタムを構築する。この合成経路では北海道大学名誉教授の橋本先生らによって開発された分子内二重不斉環化反応を鍵反応の一つとしているが、エナンチオ選択性は70%程度と中程度であり、光学分割が必要となっている。これらの問題点を椴山准教授と協力しながら解決し、目的の擬C2対称性-ブチロラクタム系HA不斉配位子をグラムスケールで合成する計画である。
3.結果と考察(Results and Discussion)
下図の様にジベンゾスベレノンを出発原料として各種官能基変換、炭素-炭素結合形成反応を組合わせて最終目標の環状HAの合成を確立した。現在のところ全工程16段階、全収率20%で目的の環状ヒドロキサム酸を合成することに成功しており、グラムスケールでの合成も可能となってきた。再結晶することにより光学純度を99% eeまで向上させることに成功した。

4.その他・特記事項(Others)
(参考文献)1) ビスヒドロキサム酸でこの問題を首尾よく回避した研究例: W. Zhang, A. Basak, Y. Kosugi, Y. Hoshino, H. Yamamoto, Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 4389.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) N. Ohtsuka, M. Seki, Y. Hoshino, K. Honda, 第75回有機合成化学協会関東支部シンポジウム, 平成30年5月20日.
(2) M. Seki, N. Ohtsuka, Y. Hoshino, K. Honda, 第62回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会、 平成30年10月13日.
(3) M. Utoguchi, K. Ueno, K. Kurauchi, Y. Hoshino, K. Honda, 第8回CSJ化学フェスタ2018、 平成30年10月24日.
6.関連特許(Patent)
なし

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