利用報告書

新規ポリマー/ナノカーボン複合材料の作製と評価
高田知哉
公立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科

課題番号 :S-19-CT-0053
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :新規ポリマー/ナノカーボン複合材料の作製と評価
Program Title (English) :Fabrication and characterization of novel polymer/nanocarbon composite
             materials
利用者名(日本語) :高田知哉
Username (English) :T.Takada
所属名(日本語) :公立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科
Affiliation (English) :Department of Applied Chemistry and Bioscience, Faculty of Science and
Engineering, Chitose Institute of Science and Technology

1.概要(Summary )
 フラーレンやカーボンナノチューブ、グラフェンなどのいわゆるナノカーボン物質をポリマーに添加することで、導電性や熱伝導性、機械的強度といった性質を付与または向上させることができる。本研究では、歯科における高熱伝導性義歯床材料の開発を指向し、ポリメタクリル酸メチルにカーボンナノチューブを種々の組成でドープした複合材料を作製し、構造および熱伝導率を観察した。

2.実験(Experimental)
利用装置名:ラマンイメージング装置(Renishaw InVia)
 メタクリル酸メチルとポリメタクリル酸メチルを所定の重量比で混合して均一溶解させ、多層カーボンナノチューブを種々の組成で混合したのち重合開始剤を加え、常温付近で重合して板状試料を作製した。試料の切り出し・研削を行って成型したのち、両面に熱電対を固定して加熱し、データロガーで定常状態での温度分布を観察した。温度分布の測定結果を用いて、Fourierの法則に基づき熱伝導率を算出した。また、原料および試料中の多層カーボンナノチューブのラマンスペクトル測定を行い、本来の構造に由来するG-bandと欠陥構造に由来するD-bandの強度比に基づき、重合反応前後でのカーボンナノチューブの構造変化の有無を調べた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 試料はポリマー重量に対してカーボンナノチューブを0〜0.5 wt%含むものを作製した。熱伝導率の測定結果より、カーボンナノチューブを添加した試料の方が未添加の試料よりも熱伝導率が向上すること、および熱伝導率がカーボンナノチューブ添加量に依存すること(添加量が多くなるほど熱伝導率も高くなる)ことがわかった。歯科材料においては、口内の温度変化の知覚を妨げないことが望ましいため、義歯床材料へのカーボンナノチューブの添加は有効であると期待される。ラマンスペクトル測定からは、重合操作に伴うカーボンナノチューブの若干の構造変化が示唆されたが、上記の結果からはこの構造変化によりカーボンナノチューブの熱伝導性が著しく損なわれてはいないことがわかった。今後は、より定量性の高い熱伝導性評価の方法を確立することと、実際の歯科用レジンを用いた試料を作製し、熱伝導性と併せて歯科材料としての審美性(色彩変化)に対するカーボンナノチューブの影響を調べることが課題である。

4.その他・特記事項(Others)
 ラマンスペクトル測定に際し技術的な支援(光学系交換、対物レンズ保守対応)をいただいた、公立千歳科学技術大学ナノテク支援室客員教授 河野敬一氏に感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
小川航史、高田知哉、根津尚史、化学系学協会北海道支部2020年冬季研究発表会、令和元年1月28日

6.関連特許(Patent)
なし。

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