利用報告書

有機および無機複合物質の合成と機能性固体材料への応用
馬渡康輝, 高瀬舞
1) 室蘭工業大学大学院工学研究科

課題番号 :S-19-CT-0122
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :有機および無機複合物質の合成と機能性固体材料への応用
Program Title (English) :Synthesis and application of organic and inorganic hybrid materials
利用者名(日本語) :馬渡康輝, 高瀬舞
Username (English) :Y. Mawatari1), M. Takase2)
所属名(日本語) :1) 室蘭工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Muroran Institute of Technology

1.概要(Summary )
機能性固体材料の性能向上には、分子レベルの微視的な構造とバルクならびに表面の基礎物性の両面から評価することが重要である。特に、新規化合物の合成を基盤に研究を推進する場合,これらの合成プロセスの検討へ評価結果をフィードバックすることが物性向上に不可欠である。本研究では、有機物を基盤とする高分子、有機無機複合材料、半導体性の固体金属酸化物など、様々な組成と形状を有する機能性材料を新たに創成することを目的としている。本支援事業を利用することにより、精密な構造解析および基礎物性の測定を材料開発へフィードバックして研究の加速をはかった。

2.実験(Experimental)
固体金属酸化物との有機無機複合材料の合成を目指した有機材料として選択した高分子を新規に合成した。得られた高分子について、サイズ排除クロマトグラフィー装置(SEC)により分子量を測定し、高分子主鎖の幾何構造解析のため、Ramanスペクトルを測定した。

使用装置:レーザーラマン装置:RENISHAW inVia Raman Microscope、レーザー波長532 nm(公立千歳科技大)、およびサイズ排除クロマトグラフィー分析システム:島津 CLASS-VP、UV-vis検出器(SPD-10Avp)、RI検出器(RID-10A) (公立千歳科技大)

3.結果と考察(Results and Discussion)
π共役系高分子である置換ポリアセチレンを新たに合成した。無機物と複合化するために有機溶媒への溶解性を調べた結果、一般的な有機溶媒への溶解性が非常に乏しいことがわかった。このような不溶性ポリマーの構造解析を確認には一般的に用いられる溶液NMRやSECを用いることができない。このため、可視光に吸収を持つπ共役系高分子の共鳴Raman測定が非常に有効であった。今後は、高機能化を目指し、ポリマーの可溶化を含む、固体酸化物との複合化方法の開発および物性評価を進めていく。

4.その他・特記事項(Others)
<謝辞>
 本測定の実施にあたり、公立千歳科学技術大学の河野敬一先生にRaman測定の操作方法や試料の調製についてご指導頂き、大越研人先生にSECにて分子量を測定して頂いた。
 本研究の一部は、科研費基盤C「有機ハイドライド中の水素貯蔵量の迅速可視化を目指したπ共役らせん高分子の開発」(19K05517)の支援を得て実施した。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
竹谷康平・高瀬舞・馬渡康輝、「液体有機ハイドライド中の水素貯蔵量を可視化する一置換ポリアセチレンの開発」、化学系学協会北海道支部2020年冬季研究発表会

6.関連特許(Patent)
なし

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