利用報告書
課題番号 :S-17-NR-0009
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :有機中性ラジカルの熱電特性研究
Program Title (English) :Thermoelectric Properties of Organic Neutral Radical
利用者名(日本語) :伊藤 宏1), 北野祥平2),辻 良太郎2), 村田剛志1), 森田 靖1)
Username (English) :H. Ito1), S. Kitano2), R. Tsuji2), T. Murata1), Y. Morita1)
所属名(日本語) :1) 愛知工業大学 工学部応用化学科, 2) 株式会社カネカ
Affiliation (English) :1) Department of Applied Chemistry, Faculty of Engineering,
2) Kaneka Corporation
1.概要(Summary)
我々は空気中で安定な有機中性ラジカルであるトリオキソトリアンギュレン(TOT)を用いた電子材料の開発を行っている。昨年度はTOT薄膜およびTOT-カーボンナノチューブ(CNT)複合材料についてその熱電変換特性の測定を行い、TOTがCNTのドーパントとして働くことを明らかにした。本年度はCNTとTOTの混合比を変えることにより、その熱電変換特性変化について詳細な測定を行った。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
ナノ材料熱電特性評価装置 カンタムデザイン社製 物理特性評価システムPPMS
【実験方法】
TOT・CNT・バインダーを複合化したフィルムに電極を銀ペーストで接着させ、上記装置を用いてゼーベック係数の測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
TOT・CNT・バインダー・分散溶媒を混合し、ガラス基板に塗布した後に乾燥させることにより、TOTとCNTが複合化した自立性のフィルムを得た。しかしこのフィルムはCNTとTOTの混合比によっては極めて脆く、任意の混合比による熱電変換特性測定が困難であった。そこで、ガラス基板上に固定したままこれらのフィルムのゼーベック係数および性能指数測定を行うことにした。
TOT/(CNT+TOT) = 0–60% の混合比で14種類の複合化フィルムを作製し、熱電変換特性を測定した。その結果、TOT添加量が0–10%程度の場合、TOT添加によるゼーベック係数の単調な増加が見られた。この時、ゼーベック係数の増加と同時に導電率が増大することにより性能指数(ZT)が大きく上昇することが明らかとなった。さらに、自立性フィルムの熱電変換測定ではTOTの添加によりCNTの熱伝導率が減少することが明らかとなっていることから、TOTはCNTの良好なドーパントなる可能性が示唆された。この機構として、現時点ではTOTラジカルからCNTへの電子移動を考えており、他の測定と合わせてその機構を明らかにする予定である。
4.その他・特記事項(Others)
本測定では、奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科技術専門職員の岡島康雄様に大変お世話になりました。本研究は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 CREST「元素戦略を基軸とする物質・材料の革新的機能の創出」 研究課題「安定な有機ラジカルの蓄電および光電変換材料への応用」(研究代表者:愛知工業大学 森田 靖 平成 24 年10月1日〜平成30年3月31日)からの支援を受けて実施されました。ここに感謝の意を表します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







