利用報告書
課題番号 :S-19-MS-0036
利用形態 :協力研究(ナノテクノロジープラットフォーム)
利用課題名(日本語) :有機半導体層の電子物性と光電変換機能
Program Title (English) :photovoltaic performance and energy state of organic semiconductors
利用者名(日本語) :伊﨑昌伸1),中村慎二1)
Username (English) :M. Izaki1), S. Nakamura1)
所属名(日本語) :1) 豊橋技術科学大学大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Toyohashi University of Technology
1.概要(Summary )
高移動度有機半導体の研究開発が進み、電子デバイスやエネルギー変換デバイスへの応用が進められている。しかし、高移動度が実現されるのは単結晶の場合であり、実用上デバイスへの応用のためには薄膜として応用されるため、単結晶級の有機半導体層ならびにその積層体の形成とそのキャリア輸送に及ぼす効果を検討する必要がある。申請者らは、真空蒸着法を用いて単結晶級有機半導体の成長を報告し、分子科学研究所の平本らと横型光電変換素子を形成し(1)、大きな拡散長を報告した(2)。本研究では、単配向有機半導体層ならびにその積層体の仕事関数を分子科学研究所が保有するケルビン振動容量法測定装置により評価しエネルギー状態を明らかにするとともに、優先方位を含む分子配列も考慮して、キャリア輸送過程ならびにそれを支配する因子を明らかにし、単配向有機半導体から構成される光電変換素子の高性能化の指針を明確にすることを目的とする。
2.実験(Experimental)
申請者が真空蒸着法により形成した単配向有機半導体層(PTCDI-C8およびC8-BTBT)ならびにその積層体の仕事関数を分子科学研究所が保有するケルビン振動容量法測定装置により評価し、エネルキー状態を明らかにする。平本教授は、有機半導体のへの不純物ドーピングによるフェルミ準位制御や光電変換層のエネルキー状態の設計と解析ならびにその学術的展開は秀でており、平本教授ならびに伊澤先生のご助言やご意見をいただきながら申請者が形成した有機半導体積層体などのエネルギー状態について明らかにし、有機半導体光電変換層の高性能化に取り組む。
3.結果と考察(Results and Discussion)
C-サファイア基板上にPTCTI-C8,C8-BTBTならびにその積層体を形成し、その構造とエネルギー状態、ならびに光照射によるエネルギー状態の変化を光アシストケルビンフォース顕微鏡により検討した結果、製膜条件ならびに光照射によるフェルミ準位の変化を観測した。これらの結果から、PTCTI-C8/C8-BTBT積層体の構造ならびに光電変換過程について考察した。
4.その他・特記事項(Others)
参考文献
(1)A. M. Moh, et al., Phys. Status Solidi A, (2018), 201700862.
(2)M. Kikuchi, et al., ACS Appl. Energy. Mater., (2019), 10.1021/acsaem.8b02135.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 中村慎二、他、表面技術協会第141講演大会、2020年3月3日
(2) S. Nakamura, et al., ICOTOM2020, 2020/9/6.(予定)
6.関連特許(Patent)
なし