利用報告書
課題番号 :S-16-MS-1048
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :様々な軸配位子を有する鉄(III)ポルフィリン二量体の構造および磁気的性質
Program Title (English) :Structures and Maganetic Properties of Iron(III) Porphyrin Complexes with Axially Pyridine N-oxide Derivatives
利用者名(日本語) :井手雄紀 1), 山田祐也1)
Username (English) :Yuki IDE 1) , Yuya YAMADA1)
所属名(日本語) :1) 島根大学大学院総合理工学研究科
Affiliation (English) :1) Shimane University
1.概要(Summary )
ポルフィリン鉄錯体は生体内にヘムとして存在しており、中心金属である鉄イオンの酸化数や結合している配位子の種類、配位数など非常に多様な種類を有している。また、補酵素トリプトファントリプトフィルキノンの生合成のために必要とされる6電子酸化を触媒する酵素MauGのモデル化合物は鉄ポルフィリン二量体と構造が類似していることが知られている。本研究では、嵩高い置換基を有するポルフィリン二量体の合成を行い、様々な軸配位子を導入した化合物の結晶構造および分光学的性質、磁気的性質などを明らかにすることを目的とした。結晶構造および磁気的性質を調べるために、X線結晶構造解析と2~300Kでの磁気モーメントの測定が必要となる。軸位に様々な配位子を導入することで異なる電子状態および金属間相互作用を生じる鉄(III)ポルフィリン二量体では、これまでに知られていない機能の発現に寄与し、より高活性な触媒や材料および副作用の少ない医薬品の開発に応用されることも期待される。
2.実験(Experimental)
X線結晶構造解析: 結晶生成した鉄(III)ポルフィリン二量体を分子科学研究所内の機器センター施設である単結晶X線回折装置Rigaku MERCURY CCD-1・R-AXIS IVおよびRigaku MERCURY CCD-2で測定し、結晶構造を明らかにした。
SQUID測定: 粉末状態の鉄(III)ポルフィリン二量体を分子科学研究所内の機器センター施設であるSQUID型磁化測定装置 Quantum Design MPMS-XL7およびQuantum Design MPMS-7で2-300Kの温度範囲、5000Oeの固定磁場でDCスキャンモードにて測定を行い、磁化率および有効磁気モーメントの算出を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
粉末状態におけるSQUIDの磁気測定によってスピン状態および金属間相互作用を確認した。温度の低下に伴って磁化率の減少が確認され、シミュレーションの結果、反強磁性相互作用が生じていることが示唆された。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Ide, N. Murai, H. Ishimae, M. Suzuki, S. Mori, M. Takahashi, M. Nakamura, K. Yoshino, and T. Ikeue, Dalton Trans., Vol. 46 (2017) p.p. 242-249.
(2) R. Fujishiro, H. Sonoyama, Y. Ide, S. Mori, T. Sugimori, A. Nagai, K. Yoshino, M. Nakamura, and T. Ikeue, Heterocycles, Vol. 94 (2017) p.p. 131-139.
(3) T. Tanaka, S. Ooi, Y. Ide, T. Ikeue, M. Suzuki, P. P.-Y. Chen, M. Takahashi, and A. Osuka, Eur. J. Inorg. Chem., Vol. 2017 (2017) p.p. 1301-1419.
(4) Y. Ide, Y. Yamada, S. Mori, and T. Ikeue, X-ray Struct. Anal. Online, accepted.
(5) 井手雄紀, 石前裕樹, 鈴木優章, 森 重樹, 高橋 正, 中村幹夫, 吉野勝美, 池上崇久, 第27回基礎有機化学討論会, 2P049, 広島 (2016年9月).
(6) 石前裕樹, 井手雄紀, 山田祐也, 鈴木優章, 森 重樹, 高橋 正, 中村幹夫, 吉野勝美, 池上崇久, 2016年日本化学会中国四国支部大会, 2H09, 香川 (2016年11月).
(7) 桑原孝光, 井手雄紀, 森 重樹, 鈴木優章, 池上崇久, 2016年日本化学会中国四国支部大会, 1J10, 香川 (2016年11月).
(8) 井手雄紀, 石前裕樹, 山田祐也, 鈴木優章, 森 重樹, 中村幹夫, 池上崇久, 第55回電子スピンサイエンス学会年会SEST2016, 2P14, 大阪 (2016年11月).
(9) 田中隆行, 大井翔太, 井手雄紀, 池上崇久, 大須賀篤弘, 日本化学会第97春季年会, 3F6-09, 神奈川 (2017年3月).
(10) Yuki Ide, Hiroki Ishimae, Masaaki Suzuki, Shigeki Mori, Akira Ikezaki, Mikio Nakamura, Takahisa Ikeue, 日本化学会第97春季年会, 3C2-18, 神奈川 (2017年3月).
(11) 山田祐也, 細田 悠, 井手雄紀, 森 重樹, 根矢三郎, 中村幹夫, 池上崇久, 日本化学会第97春季年会, 3C2-20, 神奈川 (2017年3月).
6.関連特許(Patent)
なし。







