利用報告書

模擬地下水の性状評価
永田彩加, 酒井あゆみ
パナソニックエコシステムズ株式会社

課題番号 :S-15-NU-0007
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :模擬地下水の性状評価
Program Title (English) :Properties evaluation of simulated groundwater
利用者名(日本語) :永田彩加, 酒井あゆみ
Username (English) :A. Nagata, A. Sakai
所属名(日本語) :パナソニックエコシステムズ株式会社
Affiliation (English) :Panasonic Ecology Systems Co., Ltd.

1.概要(Summary )
浄水分野において被処理水に含まれる不純物を除去する際、一般的に凝集などの前処理が行われる。
凝集性の指標としてよく利用されているもののひとつがゼータ電位であり、その絶対値が大きいほど粒子は互いに反発するため溶液中に分散して存在し、絶対値が小さいほど粒子間の引き合う力が強くなるため凝集する。一般的にゼータ電位が-20mV~+20mVの範囲では、溶液中の粒子は凝集傾向を示すと言われている。
今回の実験では社内での評価に使用している模擬地下水について、凝集剤を添加しないものと添加したもの、それぞれのゼータ電位を測定した。

2.実験(Experimental)
凝集剤を添加しない模擬地下水及び、濃度を変えて添加した模擬地下水4種を用意し、大塚電子株式会社製 ゼータ電位測定装置ELS-Z2を使用してゼータ電位を測定した。
また凝集剤を添加した模擬地下水については、社内で調整の上持参したものと当日大学にて調整したものを用意し、経時変化による影響がないか確認した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に、凝集剤を添加した模擬地下水の測定結果の一例を示す。
各試料において測定値に差はあるものの、凝集剤を添加しない模擬地下水ではゼータ電位は-20mVより大きい負の値を示した。それに対し、凝集剤を添加した模擬地下水ではゼータ電位はすべて±20mVの範囲にあり、またそのほとんどが0mV近傍の値を示し強い凝集性を持っていることが分かった。
このように、条件の異なる模擬地下水試料についての結果を比較することで、ゼータ電位の差異による凝集への影響を把握することができた。また、これにより社内試験にて得られた結果のエビデンスを得ることができ、社内試験における試験条件決定、評価方法確立に繋がった。

図1. 凝集剤を添加した試料のゼータ電位測定プロット

4.その他・特記事項(Others)
装置の使用にあたり、名古屋大学分子・物質合成プラットフォームの坂口様、伊藤様には、実験室や設備をお貸し頂くとともに、装置の使用方法に関してご指導頂きました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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