利用報告書

次世代電池電極材料の開発
園山範之
名古屋工業大学

課題番号                :S-19-NI-0017

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :次世代電池電極材料の開発

 

Program Title (English) :Development of new electrodes materials for lithium battery

利用者名(日本語)      :園山範之

Username (English)     :Noriyuki Sonoyama

所属名(日本語)          :名古屋工業大学

Affiliation (English)  :Department of Life Science and Applied Chemistry,Nagoya Institute of Technology

 

1.概要(Summary )

近年、電気自動車の普及に向けて、リチウムイオン電池の更なる性能向上が求められている。リチウムイ オン電池正極材料として LiCoO2をはじめとするCo 含有層状酸化物が用いられているが、Co 資源が希少であるため代替材料を模索する必要がある。そこで安価かつ高容量であるリチウム過剰系正極材料 Li2MnO3が検討されてきたが、初期充電における酸素脱離によるサイクル性の低下と、放電電圧の低さが問題視されている。本研究では、Li2MnO3 と同一の結晶構造を有する Li2TiO3 に着目した。Li2TiO3はTi と Oの強い共有結合により安定な構造を有することから良好なサイクル性が期待できるが、電気化学的に不活性なため容量は得られない。そこで Al を固溶させることで酸素欠損を導入し電気 化学的に活性化させ、同時に遷移金属を固溶させることで、高容量で可逆な充放電が可能な正極材料としての検討を行った。

 

2.実験(Experimental)

Ni-Al 層状複水酸化物(LDH)、Ti 源、LiOHを乳鉢で混合し焼成して試料を得た。Ni-Al LDH は Ni(NO3)2とAl(NO3)3、または NiCl2と AlCl3を用いて、共沈法やゾル ゲル法により合成した。Ti 源には TiCl4 または TiO2の微 粒子を用いた。焼成は不活性雰囲気下にて仮焼 600℃、本焼 800℃で12 時間行った。得られた試料は X 線回折法により同定を行い、EDS分析により固溶体の形成を確認した。試料をケッチェンブラック、PTFEとともにペレット成形し、定電流充放電試験により電気化学特性評価を行った。更にX線吸収微細構造により反応中の電子状態と局所構造を調査した。

3.結果と考察(Results and Discussion)

Fig. 1 に Niの固溶量の異なる試料のX線回折図形を示 す。Niの固溶量と001回折ピーク強度に相関がられ、Niの固溶量30%のとき、母構造であるLi2TiO3の層状構造を維持しながら、Niを最も多く含有する固溶体が 形成する示唆が得られた。Fig. 2に Ni固溶量 22%の試料の定電流充放電試験の結果を示す。170 mAh/g 程の放電容量と、4 V付近にプラトーを有する可逆な充放電特性が得られた。

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