利用報告書

水生物識別のためのフレキシブル磁気タグの研究
大熊航平, 山西陽子
九州大学大学院工学研究院

課題番号 :S-19-KU-0058
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :水生物識別のためのフレキシブル磁気タグの研究
Program Title (English) :Research on flexible magnetic tags for aquatic organism identification
利用者名(日本語) :大熊航平, 山西陽子
Username (English) :K. Oguma, Y. Yamanishi
所属名(日本語) :九州大学大学院工学研究院
Affiliation (English) :1) Departure of mechanical engineering、Kyushu University

1.概要(Summary )
本研究は長期間安定的に水辺の生き物を識別できるシステムの確立を目的としている。水環境に影響されにくい磁場に着目し、安価で容易に手に入る磁性体の発熱を用いたウェットな環境下でも生体の個々の情報を長時間識別できる方法を提案し、発熱に向けた基礎研究を行った。この研究が進むことでゲノム編集などの生体実験やセンシング・トレーシング技術への寄与があると考えられる。
図1に本研究のコンセプトを示す。パルス波電流を用いた粒子埋め込み技術によって生体皮膚にマグネタイトナノ粒子のパターンをプリントしたのちに、生体の付近に配置してある磁場印加用コイルで高周波磁場を発生させる。パターン配置されたマグネタイトナノ粒子はネール緩和の発熱機構により発熱するので生体皮膚にはパターン状に温度差が生じる。温度分布をサーモグラフィで観察し、磁性体の有無による温度差から識別情報を得ることで、個体ごとの識別が可能になる。この方法のメリットは、水環境での小型の水生生物の識別が安価にかつ長期間安定的に可能であること、複数体の識別が同時に可能であること、飼育しているケージ等の中で識別が可能で識別対象の移動の手間が省けることである。

Fig.1 Concept of this study
2.実験(Experimental)
粒子の発熱可否がそもそも問題であったのでサンプルの詳細なデータが必要である。粒子の発熱には粒子の径が支配的であり、10 nm付近で特異的に発熱することがわかっている。購入した一次粒径10 nmのマグネタイトナノ粒子磁性流体(㈱シグマハイケミカル)を水中で分散させ、ゼータ電位/粒径測定システム(ELSZ-2, 大塚電子)を用いて二次粒径測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 測定の一例として、サンプルA,Bの2種類について計測を行った結果を表1に示す。10 nmよりも大きい平均粒径が示され、凝集している粒子が多いことがわかった。濃度が薄いほど平均粒径は小さく表示された。以上より、一次粒径が10 nmであれば発熱する可能性が示された。
Table.1 平均粒径
サンプルNo. 濃度 [wt%] 平均粒径 [nm]
A 0.01 43.9
B 0.0005 42.5

4.その他・特記事項(Others)
ナノテクプラットフォームの方々には測定方法及び結果考察について援助いただいた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K. Oguma, 修士論文, 令和2年2月10日

6.関連特許(Patent)
なし

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