課題番号 ：S-15-MS-1036
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：混合原子価状態を有するロジウムとルテニウムの二核錯体の構造および磁気的性質の研究
Program Title (English) ：Structures and Maganetic Properties of Rhodium and Ruthenium Dinuclear Complexes Having Mixed Valence States
利用者名（日本語） ：井手雄紀 1), 石前裕樹1)
Username (English) ：Yuki IDE 1), Hiroki ISHIMAE1)
所属名（日本語） ：1) 島根大学大学院総合理工学研究科
Affiliation (English) ：1) Shimane University

１．概要（Summary ）
混合原子価錯体の興味深い特徴の一つは、構成成分の物性を保持しながら、元の錯体に存在しなかった新しい物性を持つ可能性があることである。本研究では、単分子スケールでの混合原子価状態を有するロジウム(I,II)およびルテニウム(II,III)錯体の合成・単離を行った。これらの混合原子価錯体の結晶構造および磁気的性質を調べるために、X線結晶構造解析と2～300Ｋでの磁気モーメントの測定が必要である。これらの結果により、現在知られている多くの混合原子価錯体の電荷移動におけるメカニズムを明らかにし、より高機能で安定性の高い高分子錯体を設計するために重要である。
２．実験（Experimental）
X線結晶構造解析：　結晶生成したロジウム(I,II)およびルテニウム(II,III)二核錯体を分子科学研究所内の機器センター施設である単結晶X線回折装置 Rigaku MERCURY CCD-1・R-AXIS IVで測定し、結晶構造を明らかにした。
SQUID測定：　粉末状態のロジウム(II,I)およびルテニウム(II,III)二核錯体を分子科学研究所内の機器センター施設であるSQUID型磁化測定装置 Quantum Design MPMS-XL7で2K-300Kの温度範囲、5000Oeの固定磁場でDCスキャンモードにて測定を行い、磁化率および有効磁気モーメントの算出を行った。
３．結果と考察（Results and Discussion）
X線結晶構造解析の結果、新規なロジウム(I,II)およびルテニウム(II,III)混合原子価二核錯体の結晶構造が明らかになった。ロジウム(I,II)混合原子価二核錯体の金属間距離は約2.8Åであり、金属間結合の存在が示唆された。また、SQUIDの磁気測定によって、各混合原子価錯体のスピン状態を確認した。ルテニウム(II,III)混合原子価二核錯体においては金属間相互作用およびゼロ磁場分裂の寄与についての検討を行った。
４．その他・特記事項（Others）
なし
５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
論文
(1) Y.Ide, T. Ikeue, Y. Kataoka, R. Inoue, M. Nakamura,
D. Yoshioka, M. Mikuriya, T. Kawamoto, M. Handa, Journal of Organometallic Chemistry 803 (2016) 92-103
学会
(1) 井手雄紀, 池上崇久, 片岡祐介, 中村幹夫, 吉岡大輔, 御厨正博, 川本達也, 半田 真, ホルムアミジナートイオンを架橋配位子とするロジウム二核錯体の構造および動的挙動における研究, 錯体化学会第65回討論会, 1PA-46, 奈良 (2015年9月).
(2) 井手雄紀, 池上崇久, 片岡祐介, 中村幹夫, 吉岡大輔, 御厨正博, 川本達也, 半田 真, ホルムアミジナートイオンを分子内架橋配位子とするロジウム二核錯体の電気化学的性質および動的挙動における研究, 第26回基礎有機化学討論会, 2P045, 愛媛 (2015年9月).
(3) 石前裕樹, 池上崇久, 井手雄紀, 原田靖子, 御厨正博, 吉岡大輔, 半田 真, 4つのホルムアミジナートイオンを架橋配位子とするランタン型ルテニウム(II,III)二核錯体の電子状態, 2015年日本化学会中国四国支部大会, 14P20, 岡山 (2015年11月).
(4) 井手雄紀, 池上崇久, 吉岡大輔, 御厨正博, 半田 真, ホルムアミジナートイオンと酸素化されたシクロオクタジエンを有するロジウム二核錯体の合成と性質, 2015年日本化学会中国四国支部大会, 15SC04, 岡山 (2015年11月).
(5) 井手雄紀, 池上崇久, 吉岡大輔, 御厨正博, 半田 真, ハロゲンが導入された配位子を有する新規ロジウム二核錯体の構造と性質, 2015ハロゲン利用ミニシンポジウム(第8回臭素化学懇話会年会 in 松江), P-26, 島根 (2015年11月).
(6) 石前裕樹, 池上崇久, 井手雄紀, 原田靖子, 吉岡大輔, 御厨正博, 半田 真, 4つの3,5-ジクロロフェニルホルムアミジナートイオンが架橋したルテニウム(II,III)二核錯体のスピン状態, 2015ハロゲン利用ミニシンポジウム(第8回臭素化学懇話会年会 in 松江), P-25, 島根 (2015年11月).
６．関連特許（Patent）
該当なし