課題番号 ：S-15-MS-1044
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：溶媒熱合成法を用いた金属ポルフィリン超分子の構造と磁性
Program Title (English) ：Solvothermal Synthesis, Structure and Magnetic Properties of New
Metal-Porphyrin Coordination Polymers
利用者名（日本語） ：徳元拓美1)，秋田素子2)
Username (English) ：T. Tokumoto1) and M. Akita2)
所属名（日本語） ：1) 城西大学理学部，2) 城西大学大学院理学研究科
Affiliation (English) ：1) Faculty of Science, Josai University, 2) Graduate School of Science, Josai 　
　　　　　　　　　　　 　　University

１．概要（Summary ）
　ポルフィリンは安定な電子系であり、中心に遷移金属イオンの導入が容易であること、剛直な構造をもちメソ位に比較的容易に系統的に置換基を導入可能なことから超分子構造隊の構造単位としてよく用いられている。本申請課題ではメソ位に遷移金属への配位能をもつピリジル基を導入したポルフィリンを合成し、溶媒熱合成法により金属ポルフィリン超分子を構築し、その構造と磁性について検討を行った。
２．実験（Experimental）
　メソ位に１−3個の3-ピリジル基を導入したテトラアリールポルフィリン1a-e, 4-ピリジル基を導入した2a-eの合成、1a-e 2a-eと各種遷移金属塩と塩基を用いた溶媒熱合成は、城西大学理学研究科にて行った。得られた結晶性の生成物の単結晶構造解析及び熱測定は同機器分析センターにて行った。分子科学研究所機器センター所有のSQUID型磁化率測定装置 Quantum Design MPMS-7X及びMPMX-7XLを用い、多結晶試料の磁化を1.8〜300 K, -5〜5 Tの範囲で測定した。
３．結果と考察（Results and Discussion）
　1a-eとMnII(CH3COO)2・4H2O, CoII(NO3)2・6H2O, CuII(NO3)・3H2Oの組合わせから結晶性の生成物が得られた。X線結晶構造解析の結果、1b-Mn, 1c-Mnは一次元鎖状構造、1e-Mnは二次元シート状構造を形成していることが分かった。1.8 Kにおいて1b-Mn, 1c-Mn, 1e-Mnはいずれも常磁性的挙動を示したが、M−Tプロット及びXmolT-Tプロットから付近に何らかの転移の存在が示唆された。今後転移温度前後及び弱磁場下でのM-H測定等を行い、構造と磁性の相関を明らかにしたい。一方、2aとCoIIの組合わせからは一次元ナノチャネルをもつ配位高分子が得られた。チャネル内には溶媒分子を包接しており、加熱による溶媒の脱離および空気下での水分子の吸着が単結晶を保ったまま起こることが熱測定及び単結晶構造解析から明らかになった。2a-Coは1.8 Kまでに転移は見られなかった。今後溶媒の吸脱着と磁性、チャネル内に分子を取り込んだ化合物の磁性について検討したいと考えている。

４．その他・特記事項（Others）
　本研究はJSPS科研費25620065の助成を受けたものです。
５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1)ナノチャネルをもつポルフィリン配位高分子の合成と包接溶媒の吸脱着、花井章博・青山政嗣・飯島英亮・秋田素子、第9回有機電子系シンポジウム（犬山）、2015年11月
６．関連特許（Patent）
なし。