利用報告書

熱硬化性樹脂由来炭化物超微粒子に含まれる炭素、水素、窒素の定量
中澤貴文1), 西村光平1), 齊藤丈靖1)
1) 大阪府立大学大学院 工学研究科

課題番号(Application Number):S-15-NR-0033
利用形態(Type of Service):技術代行
利用課題名(日本語) :熱硬化性樹脂由来炭化物超微粒子に含まれる炭素、水素、窒素の定量
Program Title (English) :Evaluation of C, H, and N contents in Thermosetting Resin-Based Active Carbon Particles
利用者名(日本語) :中澤貴文1), 西村光平1), 齊藤丈靖1)
Username (English) :T. Nakazawa1), K.Nishimura1), T.Saito1)
所属名(日本語) :1) 大阪府立大学大学院 工学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University

1.概要(Summary )
電気二重層キャパシタ (Electric Double Layer Capacitor, EDLC) は活性炭電極と電解質界面に生じる電気二重層を利用し、高出力・高耐久性な性質を有する。一般に、キャパシタ用活性炭は、植物由来や樹脂由来の炭素原料を800℃前後の温度で炭化、賦活することによって得られるが、炭素原料に含まれる炭素、水素、酸素、灰分などの含有比率が、炭化、賦活後の性質に大きな影響を与えることが知られている。
本研究では構造設計が容易で炭素含有量の高い熱硬化性樹脂を前駆体とした炭化物粒子を用いて、粒径、炭化・賦活条件を調整することで異なる結晶性・細孔構造を有した活性炭を作成し、EDLC性能との関係を考察することを目的とする。
本申請では、樹脂原料を800℃で炭化した時の炭化度の増加率の樹脂による相違、賦活法の相違による灰分量への影響を調べた。

2.実験(Experimental)
 元素分析装置でのフラン樹脂由来、フェノール樹脂由来微粒子、また、炭化後にKOH賦活、CO2賦活、それらを組み合わせたKOH+CO2賦活法という三通りの方法により作製した活性炭の元素分析を行い、炭素及び水素量を測定した。

利用装置:
自動元素分析装置 Perkin Elmer,2400ⅡCHNS/O

3.結果と考察(Results and Discussion)
 フラン樹脂由来微粒子、フェノール樹脂由来微粒子ともに、炭化していない微粒子と800℃で炭化した微粒子を比較すると、800℃で炭化したサンプルの方がCの割合が30%ほど増大することがわかった。また、炭化に伴い、Hの割合は3%ほど減少した。また、炭化温度を高くしていくとCの割合が増大していった。
 次に、賦活法の違いによる元素比率を見てみると、KOH賦活とKOH+ CO2賦活を行ったものではCの割合にあまり変化は見られなかった。しかし、KOH賦活やKOH+ CO2賦活とCO2賦活を比較してみるとKOH賦活を行ったサンプルではCの割合が約25%減少しており、その減少分全てが揮発成分とは考えにくいことから、灰分がかなり増加していると考えられる。
 結果、KOH賦活を行うと灰分が残存しやすいと予想されるために、KOH賦活後の充分な洗浄が必要であると考えられる。また、CO2賦活や炭化温度を上げると微粒子の炭化度が大きくなることがわかった。

4.その他・特記事項(Others)
 本研究の一部は、堺市産学官連携共同研究開発事業による助成を受けた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 西村光平ら, 第47回 化学工学会 秋季大会ZA2P07, 平成27年9月10日
(2) 中澤貴文ら, 第56回 電池討論会2H25, 平成27年11月13日
(3) 西村光平ら, 第56回 電池討論会2H26, 平成27年11月13日
(4) T. Saito et al., 2015 MRS Fall Meeting & Exhibit LL3.19, Nov. 30, 2015.
(5) 中澤貴文ら, 化学工学会 第81年会ZAP246, 平成28年 3月14日

6.関連特許(Patent)
なし。

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