利用報告書
課題番号 :S-17-MS-1079
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :熱量測定によるプレフォルディンー2型シャペロニンシステムのシャペロン機構の解明
Program Title (English) :Study on the chaperone mechanism of prefoldin-group II chaperonin by isothermal titration calorimetry
利用者名(日本語) :福谷 洋介1), 小畑 智弘1), 安海一優1), 森田 健斗1), 養王田 正文1)
Username (English) :Yosuke Fukutani1), Tomohiro Obata1), Kazuya Ankai1), Kento Morita1), Masafumi Yohda1)
所属名(日本語) :1) 東京農工大学大学院工学府生命工学専攻
Affiliation (English) :1) Department of Biotechnology and Life Science、Tokyo University of Agriculture and Technology
1.概要(Summary )
プレフォルディンとグループ2型シャペロニンは古細菌及び真核生物細胞質のプロテオスタシスにおいて重要な役割を担っている。プレフォルディンは6本足のクラゲ様構造をしており、変性タンパク質を捕獲して凝集から守る。さらに、2型シャペロニンに結合し、そのタンパク質を受け渡し、グループ2型シャペロニンがATP依存的にそのリフォールディングを促進する。我々は、好熱性真菌Chaetomium thermophilum由来プレフォルディン(CtPFD)–グループ2型シャペロニン(CtCCT)を用いて、これまで未解明であった真核生物型プレフォルディン–CCTによるタンパク質フォールディング機構の解明を目的としている。本研究では、等温滴定型熱量計により、CtPFDとCtCCTの相互作用及びCtCCTとヌクレオチドの結合を解析した。
2.実験(Experimental)
CtCCTは8つのサブユニットを大腸菌で同時に発現し、Strep-tagを用いたアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製した(1)。CtPFDは6つのサブユニットを別々に大腸菌で発現し、尿素変性した状態で混合し、透析により再構成した。Strep-tag及びHis-tagを用いた2段階のアフィニティクロマトグラフィーの後、ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製した(Manuscript in preparation)。相互作用は等温滴定型カロリメーター MicroCal iTC200を用いて解析した。CtCCTとADPの結合については、GroELとヌクレオチドの結合実験で用いられた方法に従って行なった(2)。CtCCTとCtPFDの結合については、2017年度前期と同様の方法で行なった。
3.結果と考察(Results and Discussion)
CtCCTとCtPFDの結合では熱量が発生しないことを確認した。CtCCTとADPの結合では、図のような熱量の発生が確認されたが、主にADPの希釈熱であり、ADPとCtCCT結合に伴う熱量変化を正確に測定することはできなかった。これはCtCCTの濃度が1µMと薄買ったことが原因であり、CtCCTの精製収率を上げ、GroELの実験と同程度の濃度(9µM)で実験を行う必要がある。
4.その他・特記事項(Others)
(1) Yamamoto YY, et al. PLoS One. (2017) 12: e0176054.
(2) Terada TP, et al. Biochim Biophys Acta. (1999) 1431:269-281.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。