利用報告書

熱量測定によるプレフォルディンー2型シャペロニンシステムのシャペロン機構 の解明
小畑 智弘1),中村 真奈美1),安海 一優1),緑川 莉緒1), 養王田 正文
1) 東京農工大学大学院工学府生命工学専攻

課題番号 :S-18-MS-1027
利用形態 :機器センター施設利用(ナノテクノロジープラットフォ-ム)
利用課題名(日本語) :熱量測定によるプレフォルディンー2型シャペロニンシステムのシャペロン機構 の解明
Program Title (English) :Study on the chaperone mechanism of prefoldin-group II chaperonin by isothermal titration calorimetry
利用者名(日本語) :小畑 智弘1),中村 真奈美1),安海 一優1),緑川 莉緒1), 養王田 正文
Username (English) :T. Obata1), M. Nakamura1), K. Ankai1), R. Midorikawa1), M. Yohda1)
所属名(日本語) :1) 東京農工大学大学院工学府生命工学専攻
Affiliation (English) :1) Department of Biotechnology and Life Science, Tokyo University of Agriculture and Technology

1.概要(Summary )
 プレフォルディン(PFD)とグループ2型シャペロニン(CCT)は古細菌及び真核生物細胞質のプロテオスタシスにおいて重要な役割を担っている。PFDは6本足のクラゲ様構造をしており、変性タンパク質を捕獲して凝集から守る。CCTはPFDから変性タンパク質を受け取り、ATP依存的にそのフォールディングを促進する。本研究では、好熱性真菌Chaetomium thermophilum由来PFD(CtPFD)–CCT(CtCCT)を用いて、これまで未解明であった真核生物型PFD–CCTによるタンパク質フォールディング機構の解明を目的とした。また、sHspの1種である、CHO細胞由来HspB1(CgHspB1)の基質相互作用機構解明を目的に、蛍光プローブ分子であるアニリノナフタレンスルホン酸(ANS)との相互作用の解析を行った。
2.実験(Experimental)
 CtCCTは8つのサブユニットを大腸菌で同時に発現し、アフィニティクロマトグラフィー等で精製した(1)。CtPFDは、大腸菌で別々に発現した6つのサブユニットを尿素変性した状態で混合し、透析により再構成し、アフィニティクロマトグラフィー等で精製した(2)。CtCCTとCtPFDの相互作用は、等温滴定型カロリメーター MicroCal iTC200を用いて解析した。CgHspB1は,野生型(CgHspB1_WT)とリン酸化模倣体(CgHspB1_S15D)を大腸菌で発現し、イオン交換クロマトグラファイーとゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。ANSとの相互作用に伴う熱量変化をMicroCal iTC200で解析した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 CtCCTとCtPFDの相互作用に伴う熱量の変化は測定できなかった。古細菌型の2型シャペロニンとPFDについても、相互作用に伴う熱量の変化を測定できていなかったことから、等温滴定型熱量測定で相互作用の解析は不可能であると判断した。
 ANSはタンパク質の疎水領域と結合して蛍光をハッスルことから、CgHspB1の構造変化を検出することができる。25°Cと45°Cで測定したところ、25°CでS15DがWTと比較して多くのANSと結合することを示唆する結果が得られた(Fig. 1)。この結果は、S15Dが常温でもオリゴマーが解離し、変性タンパク質と相互作用するという結果と対応する。

Fig. 1 ITC profiles of binding of ANC on CgHspB1 variants at 25°C
4.その他・特記事項(Others)
参考文献
(1) Y. Y. Yamamoto, et al. PLoS One.12(2017) e0176054.
(2) K. Morita, et al. Int J Mol Sci.19(2018) E2452.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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