利用報告書

環境タンパク質の分析 水をろ過した抽出物と動物サンプル
齊藤達也1)、 土居秀幸1)
1) 兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科

課題番号 :S-20-JI-0014
利用形態 :技術代行支援
利用課題名(日本語) :環境タンパク質の分析 水をろ過した抽出物と動物サンプル
Program Title (English) :Analysis of environmental proteins: water and animal samples
利用者名(日本語) :齊藤達也1)、 土居秀幸1)
Username (English) :T. Saito1)、 H. Doi1)
所属名(日本語) :1) 兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Simulation Studies, University of Hyogo

1. 概要(Summary )

北陸先端科学技術大学・大木 進野 先生とともに、環境水中の環境タンパク質の分析を試みた。環境中の生物情報は環境DNAをはじめとして近年解析が進んでいるが、環境中のタンパク質の解析についてはほとんど進んでいない。
そこで、本研究では技術代行支援を利用して、核磁気共鳴装置 NMR800MHzを使用して水をろ過した抽出物と動物サンプル(オオミジンコ)から取り出したタンパク質の分析を行なった。

2.実験(Experimental)

500m Lの蒸留水にて、オオミジンコ(Daphnia magna)を100匹程度48時間飼育し、その後、水中からミジンコを取り除き、水500mLをアミコンチューブ(30k)で全量濾過をした(4℃、4000g)。フィルター部位にKCl(200mM)を1000μL添加、ピペッティング後、1.5mLチューブ(①)に移し、新しい1.5mLチューブ(②)に、取り除いたミジンコ(70~100個体)を加え、KCl(200mM)を1000μL加えた。1.5mLチューブ(①、②)を冷凍庫(-60℃)とヒートブロック(37℃)で凍結融解を繰り返し(ミジンコ個体の組織を目安に繰り返す)、細胞を破壊し、4℃、10,000gで30分間遠心した。上澄みを新しい1.5mLチューブへ移し、-60℃で保存した。これらのサンプルについて、技術代行支援を利用して核磁気共鳴装置 NMR800MHzを使用して水をろ過した抽出物と動物サンプル(オオミジンコ)から取り出したタンパク質の分析を行なった。

3.結果と考察(Results and Discussion)

NMR測定の結果、動物サンプルと水サンプルの比較では、水サンプルの方がピークの数が非常に少なかった。これは、水サンプル中に含まれるタンパク質は、生体から得られるタンパク質に比べるとごく一部である可能性がある。しかし、今回の水サンプル中に含まれるタンパク質濃度は非常に低濃度であったため、動物サンプルと異なったとも考えられる。今後はタンパク質の収量を多くする抽出法を検討する。質量分析は、NMR測定よりも測定に必要な濃度が低いため、質量分析によるアプローチも検討していく。

4.その他・特記事項(Others)

クリタ水・環境科学振興財団・研究発表優秀者助成 ”環境中からの生物情報の獲得による水域生態系の健全性把握”(土居秀幸 代表)による研究

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

6.関連特許(Patent)

なし

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