利用報告書

生体適合性ナノ粒子とウイルスの相互作用解析
田原 耕平, 小林 由果, 牛尾 真美子(岐阜薬科大学)

課題番号 :S-20-MS-1081
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :生体適合性ナノ粒子とウイルスの相互作用解析
Program Title (English) :Interaction Analysis of Biocompatible Nanoparticles with Viruses
利用者名(日本語) :田原 耕平, 小林 由果, 牛尾 真美子
Username (English) :Kohei Tahara, Yuuka Kobayashi, Mamiko Ushio
所属名(日本語) :岐阜薬科大学
Affiliation (English) :Gifu Pharmaceutical University

1.概要(Summary )
申請者等は100 nm程度のカチオン性ナノ粒子が、宿主細胞へのウイルス感染を強力に抑制することを見出した。この現象は、ナノ粒子自体がウイルスを吸着し、ウイルス感染を制御していることが予想され、画期的な感染症薬物治療につながる。しかしながら、ウイルス感染抑制メカニズムについては不明な点が多い。ウイルスは一般的に細胞表面のレセプターを介して細胞内に侵入するが、ウイルスのレセプターへの吸着力よりも、ウイルスとナノ粒子の相互作用力の方が大きければ、抗ウイルス効果が期待できると考えている。しかしながら、微粒子間の相互作用を定量化することは困難であった。本研究では、ナノ粒子によるウイルス感染抑制機構の解明を目的として、分子科学研究所のITCを応用することで、ナノ粒子・ウイルス間相互作用を定量化し解析することを目指す。

2.実験(Experimental)
100nmのカチオン性ナノ粒子と不活化したウイルス粒子(約100 nm)の相互作用の熱量変化を等温滴定型カ
ロリメーター(ITC, MicroCal iTC200)で評価した。単純ヘルペスウイルス(ヒトヘルペスウイルス1型, HSV-1)を化学的処理により不活化した。カチオン性ナノ粒子(約100 nm)はリン脂質、コレステロール、ステアリルアミンから構成されるものを用いた。カチオン性ナノ粒子の希薄懸濁液をiTC200のサンプルセルに充填し、リガンドとしてHSV-1粒子の懸濁液をサンプルセルに滴下した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
カチオン性ナノ粒子はMilliQ水に分散したものを用い、不活化ウイルスは細胞培地に分散したものを用いた。今回の実験では各々の分散媒が異なっていたため、希釈熱の影響が大きく出てしまい、残念ながらナノ粒子とウイルスの相互作用の熱変化を検出することができなかった。今回の検討において、装置側の測定条件を決定することができたため、ナノ粒子とウイルスの分散媒をpH差に留意しながら統一すれば、相互作用の熱変化を追うことができると考えている。本年度の研究結果を元に、実験条件を再考し次年度もMicroCal iTC200によるナノ粒子とウイルスの相互作用解析を申請する予定である。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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