課題番号 ：S-16-JI-0036
利用形態 ：技術代行
利用課題名（日本語） ：発光ナノカーボンの合成と構造評価
Program Title (English) ：Synthesis and characterization of chemical structure of photoluminescent nanocarbon
利用者名（日本語） ：比江嶋祐介, 酒井直希
Username (English) ：Y. Hiejima, N. Sakai
所属名（日本語） ：金沢大学
Affiliation (English) ：Kanazawa University

１．概要（Summary ）
流通式反応器を用いた水熱連続合成による発光ナノカーボンのXPS測定を行った。その結果、反応温度や滞留時間などの反応条件に依存して、粒子の化学構造が変化していることが分かった。

２．実験（Experimental）
XPS測定には島津製作所製Kratos Axis-ULTRA DLDを用いた。

３．結果と考察（Results and Discussion）
図1に窒素1s軌道のXPSスペクトルを示す。ここで、凡例に示すサンプルコードの前の数字は反応温度を、後ろの数字は滞留時間を表し、下に並んでいるものほど高反応温度および長滞留時間条件にて合成した発光ナノカーボンである。反応の進行に伴って、六員環炭化水素構造の炭素一つが窒素に置き換わった、pyridinic Nに帰属される398.4 eVのピークは増大し、五員環炭化水素構造の炭素一つが窒素に置き換わったpyrrolic Nに帰属される400.2 eVのピークは減少

図１様々な反応温度および滞留時間にて合成した発光ナノカーボンXPSスペクトル（N 1s軌道）

することから、pyrrolic Nが徐々にpyridinic Nに移行していくことが分かった。

４．その他・特記事項（Others）
XPS測定は村上達也氏に実施いただいた。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) Y. Hiejima and M. Kanakubo, J. Sol. Chem., Vol. 45, (2016) pp.1560-1570.
(2) Y. Hiejima, E. Takubo, N. Sakai and K. H-. Nitta, 12th IUPAC International Conference on Novel Materials and their Synthesis, 2016/10/14. (Invited talk).
(3) 酒井直希、比江嶋祐介、新田晃平、林拓道、金久保光央、化学工学会第82年会, 2017/3/6.

６．関連特許（Patent）
(1) 比江嶋祐介, 林拓道, 金久保光央, “発光性ナノカーボン製造方法”, 特開2017-043539, 平成29年3月2日