課題番号 ：S-15-MS-1005
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：白金族触媒からの単層カーボンナノチューブ作製と構造評価に関する研究
Program Title (English) ：Study on single-walled carbon nanotubes growth from platinum group metal catalysts
利用者名（日本語） ：小澤顕成, 桐林星光, 小川征悟, 夏目拓弥, 丸山隆浩
Username (English) ：A. Kozawa, H. Kiribayashi, S. Ogawa, T. Natsume, T. Maruyama
所属名（日本語） ：名城大学理工学部
Affiliation (English) ：Meijo University

１．概要（Summary ）
化学気相成長（CVD）法による単層カーボンナノチューブ（SWNT）の作製では，触媒金属粒子のサイズがSWNT直径を決定する。そのため，直径やカイラリティ分布のそろったSWNTを作製するには，高温で安定したサイズを保つことのできる金属粒子を用いることが有効である。白金族元素は，高融点をもつ金属が多いことから，我々のグループではこれまでPtとPdを触媒に用いたSWNTの作製を行ってきた。本研究では，より高い融点をもつRhを触媒に用いたSWNT成長を試みた。
２．実験（Experimental）
　SWNTの作製はコールドウォール型化学気相成長（CVD）装置を用いて行った。Rh触媒は電子ビーム蒸着装置を用いてAl2O3/SiO2/Si基板上に堆積させ，エタノールを原料に用いてSWNT成長を行った。作製したSWNTは，分子科学研究所において顕微ラマン分光測定と走査電子顕微鏡（SEM）観察により評価した。
３．結果と考察（Results and Discussion）
　図１に400～600℃で成長を行ったSWNTのラマンスペクトルを示す。各成長温度において，最も生成量が多くなるようエタノール圧力を最適化して作製したが，成長温度の低下とともにGバンドのピーク強度が減少しており，温度の低下につれ生成量が減少していることがわかる。しかし，400℃で作製した場合でも低波数領域においてRBMピークが観測されており，SWNTが成長していると考えられる。また，複数の励起波長でラマン分光測定を行った結果，SWNT直径は主に0.9～1.1 nmに分布していることがわかった。Rh触媒を用いた場合，PtやPdなど他の白金族元素と比較すると，低温でのSWNTの生成量が増加したことから，Rh触媒はSWNT作製温度の低温化に有効であると考えられる。
図１　Rh触媒を用いて400～600℃において作製したSWNTのラマンスペクトルの低波数領域（左）と高波数領域（右）．

４．その他・特記事項（Others）
本研究を実施するにあたり，文部科学省科学研究費補助金挑戦的萌芽研究（25600031），私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「グリーンイノベーション研究拠点形成プロジェクト」の支援を受けました。また，ラマン分光測定とSEM観察では，分子科学研究所の売市幹大研究技術職員と中尾聡博士研究員のお世話になりました。
５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) A. Kozawa, H. Kiribayashi, S. Ogawa, T. Saida, S. Naritsuka and T. Maruyama, Diamond Relat. Mater. Vol. 63 (2016) p.p. 159-164.
(2) A. Kozawa, H. Kiribayashi, S. Ogawa, T. Saida, S. Naritsuka and T. Maruyama, 2016 Materials Research Society (MRS) Fall Meeting, Dec. 3 (2015).
(3) 小澤顕成，桐林星光，小川征悟，才田隆広，成塚重弥，丸山隆浩，第45回結晶成長国内会議（NCCG-45）　平成27年10月20日．
(4) 小澤顕成，桐林星光，小川征悟，才田隆広，成塚重弥，丸山隆浩，第63回応用物理学会春季学術講演会平成28年3月21日．
６．関連特許（Patent）
なし